自分でビジネスを始める時「社会で誰もやっていないことをやらないといけない」とか「独自性の高いことをやらないといけない」とか「ブルーオーシャンを狙うべきだ」と勘違いしている人は多いです。
それが間違っているとまでは言いませんが、全くのビジネス未経験から起業するのであれば、他のみんなが挑戦していることに着手して、その中で少しでも魅力的な結果が出せるように一極集中すべきです。
なぜなら、そこにはとても魅力的なマーケットがあるからです。
実践者が多い領域=将来の顧客が多い領域
ゼロからビジネスを始めるのであれば、
- 実践者人口が多い領域
- 成功する上での再現性が高そうな領域
にまず挑戦をして、その中で成功体験を積んでいきます。
ゴールドラッシュの逸話は有名ですが「砂金が採れる!」と大きく話題になった時に一番儲けることができたのは、砂金を掘った人ではなく、労働者に対してスコップやジーンズを売った人たちです。
今でもテレワークが増えたことで、テレワークを快適にするための商品が売れるようになったり、YouTube実践者が急増したことで、YouTuberの事務所や広告代理店、シナリオライター、あるいはYouTube収益化を教えるスクールやコンサルが儲かるようになったりと「実践者が多い領域」の周辺には、ビジネスチャンスがたくさんあると捉えることができます。
なぜなら、プレイヤーが多いということは「顧客が多い」ことをそのまま意味するからです。
仮にスポーツ関連のコンテンツビジネスをやるにしても、メジャースポーツはレッドオーシャンだと早合点し、マイナースポーツに目を向けても、興味を持つ人が少ないとビジネスとしては成立しません。
それなら、サッカーや野球、格闘技、ゴルフといった領域でビジネスを行う方が、よっぽど数字につながると考えられますよね。
結果を出して「プロセス」を販売する
実践者が多い領域で勝負することを決めたら、その次は「再現性の高い方法で成果を出す」ことに集中します。
「再現性が低い方法で成果を出した方が真似されなくていいんじゃないの?」と思われるかもしれません。
しかし、再現性が高い方法で成果を出すことができたら、それを商品にして販売することでマネタイズすることができます。
例えば、天才的な記憶力を持ってして東大に合格したAさんと、愚直に地道に努力をして偏差値を上げて東大に合格したBさんであれば、再現性はBさんの方が多いため、受験ノウハウや勉強法、受験指導という観点で、Bさんの方が後のビジネスチャンスは大きくなると考えられます。
ちなみに僕は最初の副業としてブログアフィリエイトを選び実践しましたが、それをやろうと決断した理由は、多くの人が「初心者にオススメ」だと主張していたからです。だとすれば、そこでスキルを学んだり、成果を出すことができれば、需要のある商品を作ることが可能になりますよね。
「再現性の高さ」にも濃淡があります。
ただ、シンプルに考えれば「自分のやり方をモデリングしたら、他の誰かも同じように(あるいは7割〜8割でも)成果が出る」と自信をもって言えるのであれば、十分に再現性があると考えていいでしょう。
お金を払ってでも解決したいことかどうか
僕が最初に参入する領域として「マネタイズ分野」を選んだのは、将来的にお金を払ってでも学びたい人、お金を払ってでも解決したい人がたくさんいるという確信を持ったからです。
いくら再現性が高い方法で成果を出すことができたとしても、そこに需要がなければ、つまり「お金を払ってでも手に入れたいこと」でなければ、ビジネスとして成立させるのは非常に難しいです。
例えば、あなたがサッカーゲームの『ウイニング・イレブン』がとても強いとします。
そして「誰でも簡単にウイイレで勝てるようになる方法を教えます!」という商材を販売しようとしても、果たして何人の人がそれに興味を持ち、そしていくらのお金を払うのかをリアルに想像すると、非常に厳しいと感じていただけるはずです。
僕が最近コンサルティングに入っている方だと、ビジネス領域、恋愛、動画制作、離乳食教育、料理、マインドフルネスといった業界の方が中心ですが、どれも実際に確実な需要があると言えますよね。
「まだ誰もやっていないこと」を探したがる人は多いですが、「誰もやっていないこと」は単純に「需要が小さい」可能性が大きいので、これからその領域でビジネスを展開するのは非常にリスキーです。となると、最初の成功体験を積むのも非常に難しいですし、将来の顧客も確保できません。
だから僕は、これからビジネスをやるのであれば、「既に盛り上がっているところ」に参入して、そこで小さな成功体験を積み重ねながら、将来の売り物になるスキルや実績を積み重ねていくことを推奨しています。
再現性が低いビジネスへと移行する
再現性が低いビジネスで結果を出して、結果を出すまでのプロセスを商材化する。
これだけでも個人で生きていくには十分な成果(月100万円〜200万円前後)を出せるようになります。そして、それを行う過程で、更に再現性の高い成功実績をたくさん作れるようになります。
例えば、コンサルティングやデジタルコンテンツのような無形商材を販売する過程では、集客、見込み客教育、販売というDRM(Direct Response Marketing)の流れを実行するのが王道ですが、集客の中でもSEO集客、広告集客、SNS集客、販売の中でもセールスレターの書き方、クロージングの仕方、VSLの作り方…と無限に細分化ができるように、ゼロから商品を作って売れるようになるまでの過程では、あらゆる種類の「ニーズのある商品」を作ることができるようになります。
ただ、そこから先、もっとビジネスの基盤を盤石にしていくためには、再現性が高いビジネスで培った様々なスキル、経験、人脈を駆使して「再現性が低いビジネス」にアップデートすることも重要です。
つまり周囲から「それはあなただからできたんでしょ?」と言われるようなビジネスにしていくということです。
ここまでビジネスを成長させてこれたなら、既にたくさんの武器(スキル、知識、戦略、実績、人脈、プロセス、キャッシュ…etc.)が手元に残っているはずです。
こうした数々の武器を総動員して「誰でもできるわけではないビジネス」、つまり再現性が低く、参入障壁も一見すると高そうに見えるビジネスに挑戦していきましょう。
その結果、誰にも脅かされない確固たるポジションを築くことができますし、他の競合と比較検討されることもなくなり、長期安定的な成功を手に入れることができるようになります。
需要のあるところで個性を出す
今までの話をまとめると、
- まずは参入障壁が低く再現性が高い領域で成果を出す
- 次に実績を活用して、同領域のプレイヤーを顧客にする
- その過程で得た武器を総動員して参入障壁が高いビジネスに参入する
という流れが、起業初心者が効率よく長期的に大きく売れていくための道筋です。
最初から他人と違うことをやりたがったり、誰も思いついていないアイデアを思いつかねばという強迫観念に駆られる人は多いです。
確かにビジネスで成功するために「個性」は大事です。ただ個性とは「誰もやっていないことをやること」ではなく、需要があるビジネスを「どう自分らしくやるのか」こそ、売れる個人になる上で重要な「個性の出し方」だと言えるのではないでしょうか。
完全なブルーオーシャンなんてこの世界には存在しません。そうではなくて、レッドオーシャンを見つけて、レッドオーシャンの中で自分だけの船を浮かべるイメージが、これからの時代にビジネスで成功する上では重要になるのではないかと僕は考えています。
つまり「需要がある場所」の中に「自分だけの世界」を作るイメージです。
今回お話しした内容は、名もなき個人がゼロからビジネスを立ち上げて、長期的な成功を収めるための抽象度の高いフレームワークです。抽象度が高いということは「本質的」であるとも言えるので、どんな領域でどんなビジネスを展開するとしても活用していただけるはずです。ぜひこの3つのステップに沿って、あなたのスモールビジネスを成長させていってください。