ホワイト企業を辞めたいと思っている君へ。1年目で退職を決意した僕より。

「ホワイト企業なのに辞めたいと思っている自分は果たして本当に大丈夫なのだろうか?」

もしあなたがそんな風に孤独な悩みを抱えているのであれば、ぜひ安心してください。この世界にはあなたと同じような不安や孤独を抱えながら生きている人や、そんな不安を乗り越えて行動を起こした人が、それなりにたくさんいます。それを知るだけで、ちょっとは心が軽くなるはず。

きっとあなたは「ホワイト企業 辞めたい」のようなキーワードで検索してこの記事に辿り着いたか、何か現状にモヤモヤした気持ちを抱えながらSNSを眺めていたら偶然この記事が出てきたか、あるいは他の記事を読んでいる中で、この記事がたまたま表示されて気になってアクセスしてくれたか、そのどれかだと思います。

僕は元々「ホワイト企業」と呼ばれるような会社に就職して、就職とほぼ同時に「できるだけ早くこの会社を辞めたい」と思うようになって、実際に2年と1ヶ月が経ったタイミングで会社を辞めて独立しました。

ホワイト企業といってもただのホワイト企業ではありません。東洋経済CSR調査という何やら凄そうな調査によって「新卒3年後定着率」という指標で算出された「ホワイト企業ランキング」で1位に輝いたこともある会社です。(僕が2年とちょっとで辞めてしまったことで、このランキングの順位を落としてしまったことは間違いないので、本当に申し訳ないと思ってる)

僕は会社を辞めて生きていくための手段として起業をしました。今ではそれから8年以上の月日が経過しましたが、ありがたいことに普通に会社員をやっているよりも、お金の面でも時間や気持ちの面でもかなり良い思いをさせていただいたと思っています。別に自分を成功者だ何だと言いたいわけでも何でもないですが(実際にそんなに大したことはしてないですし)、ただ会社を辞めて独立したことで得られたものの大きさを考えると、あの時、自分の意思で会社を辞めるという選択をして本当に良かったと思っています。

ホワイト企業を辞めたいという気持ちは、多くの場合において、周りからあまり受け入れてもらえないことが多いです。特に親とか恋人とか自分の身近にいる人からは。それに世間一般的な平均と比較すると、間違いなく「恵まれている側」であることは確かだから、自分はおかしいんじゃないかとか、ただの甘えなんじゃないかと不安になることも多いと思います。

実際に僕もそう思って「ホワイト企業 辞める」って何回も何回も検索したし、自分と同じような悩みを抱えた末に会社を辞めて独立した人がいないかどうか血眼になって探したりもしました。結局は自分の人生は自分のものでしかないんだけど、分かりやすいロールモデルを見つけて安心したい気持ちがあったんですよね。

当時はノマドワーキングとかネット起業が流行り始めた頃でしたが、実際に見つけることができる人は、元々の会社で大きな実績を残した上で独立した人か、「中卒からの一発逆転!」みたいなキャッチコピーを前面に押し出した人ばかりで、普通に「世間体の良い会社に入ったけど、どうしても上手くアジャストできなくて辞めた」という人の情報があまり見つけられなかったんです。

あるいは見つけられたとしても「会社を辞めた!今月から自由!」みたいな辞めたてホヤホヤの人ばかり。そりゃ会社を辞めたばかりの頃は楽しくて楽しくて仕方がないでしょう。でも、僕たちが知りたいのは、ホワイト企業を辞めて数年、少なくとも5年〜10年が経った後のリアルではないでしょうか。その人がどんな生活を送っているのか、後悔などはしていないか、辞めたことを率直にどう思っているのか等々。

目先の恩恵よりも40代、50代になった時の自分の生活に重きを置いた結果、ホワイト企業に入るという選択をした人も多いだろうし、仮にそこを辞めるという選択をしたとしても「ホワイト企業を辞めなかった世界線の自分」との比較は永遠について回るかもしれません。

だから、会社を正式に退職してから8年ほど経った今こそ「ホワイト企業を辞めた記事」を書くための機が熟したんじゃないかと言えるはず。

人それぞれ価値観も生き方も大事にしているものも何もかもが違います。だから僕に当てはまったことが、そっくりそのままあなたにも当てはまるかというと決してそんなことはないと思います。当てはまるものもあれば、当てはまらないものもある。それが至って普通のことではないでしょうか。だからこそ、この記事も「話半分に聞け」とまでは言わないけど、全てを鵜呑みにするんじゃなくて「こんな考え方もある」くらいに読んでいただくのが、おそらくインプットする姿勢としての最適解になりうるはずです。

それを踏まえた上で、少しでも参考になるポイントだったり、響いてもらえる箇所を見つけていただければ、僕もとても嬉しく思います。普通はホワイト企業なんて辞めたいと思いません。だからこそ、自分ひとりで悩みを抱えていることに対して大きな孤独感を感じる人もいらっしゃるはずです。この記事がそんなあなたの孤独や不安を少しでも和らげることができたなら、僕もとても嬉しく思います。

目次

なぜホワイト企業を辞めたいのか

会社を辞めたい理由も千差万別です。ただ「ホワイト企業」と限定するならば「もっと成長を実感できる職場で働きたい」とか「意味のない会議や資料が多くてイライラする」とか「もっとエキサイティングなことをしたい」という思いから辞めたいと感じる人が多いのかもしれません。

でも、僕の場合は全く違いました。

そもそも就職活動の時にどれだけ自己分析をしたところで出てくる本音は「働きたくない」だったんです。元々は将来の選択肢を増やしたいと思って、できるだけ高い偏差値の大学に入った方が有利だと考え、当時の僕が目指すことのできる最高レベルである慶應義塾大学に入学しましたが、いざ就職活動が始まると本当に「やりたいこと」がないわけです。というよりも、社会に出て死んだ目をするようになった先輩たちの姿を見ていたら「就職しないこと」への憧れが日に日に強まっていったのです。

とはいえ「就活せずに生きていく」という選択肢をとれるほど、僕は非現実的にはなれなかったし、その道を突き進める勇気もありませんでした。将来飲食店をやりたいから就職しないでカフェでバイトをし続けるという後輩もいたんですけど、正直慶應に入ってカフェでバイトして生きていくなんて自分にはできないなと思いました。

だから、僕は就活の軸として「楽しそうな会社」と「楽そうな会社」を設けることにしました。どうせ働きたくないんだから、めっちゃ面白そうな会社に入るか、暇でノンストレスで給料がそこそこ良い会社に入って余暇を充実させるかどちらかしかないと思ったんです。

楽しそうな会社という軸で志望したのが、広告代理店や出版社、映画配給会社、あとはIT系のスタートアップが何社かでした。元々は確か電博に行った先輩から「グラビアアイドルと水着でバーベキューができるぞ!」と教えてもらったのがキッカケです。真偽のほどは分かりませんが。そして楽そうな会社という軸で志望したのは、社会インフラを扱う業界でした。電力やガス、エネルギー、通信、鉄道といったところです。

何社かから内定をもらうことができましたが、僕はその中で一番ホワイトそうな会社に就職することを決めました。いわゆる「楽しそうな会社」は大手が全部ダメでスタートアップしか内定をもらえなかったことも僕の判断に大きく影響しました。大手じゃなかったから志望度が下がるという時点で、手堅い大企業の方が僕の軸に近かったのかもしれませんね。それに元々が「就職したくない」ところから始まった就職活動だったので、最終的には両親が喜んでくれるような会社にしておこうという気持ちもあったのだと思います。

ちなみに、僕は会社を辞めてから今に至るまで、決して少なくない数の「独立仲間」と出会うことができました。また僕が運営しているマーケティングやノマドワーキングを追求するコミュニティやイベントにも、多くの「会社を辞めたい人」が参加いただいています。彼らと話していると、意外なことに、当時の僕と同様に「ホワイト企業に入ったけど、会社をどうしても辞めたくなって独立した人」が多いことに気付かされます。

企業名は出せませんが、大手の電力会社のようなインフラ系の会社、いわゆる四大通信会社と呼ばれる会社、あるいは公務員出身の方もとても多い印象です。

彼らと話していると、みんな口を揃えてこう言います。楽な会社に入ったと思ったけど、実際のところ全然楽なことばかりじゃなかった。むしろ閉鎖的な人間関係に苦労することも多くて、このままじゃ人生を無駄にしているような気がして会社を辞めることを決断したと。

つまり「ホワイト企業に夢を抱いて入社したけど、思っていたほどホワイトでもなかった」というわけですね。もちろん「勝手に期待しすぎた側が悪い」とも言えます。それに、いわゆるブラック企業と呼ばれるような会社と比較すると、贅沢すぎる悩みだと切り捨ててしまうことも簡単です。

ただ、ホワイトさを求めて入社した結果、そこまでホワイトだと感じられなかったのであれば、もっとホワイトな環境を求めて別の場所へと旅立つことは、それほど論理的に破綻しているようには感じられないし、むしろ理にかなっていることのように感じられます。

「ホワイト企業」は古い価値観かもしれない

そもそもホワイト企業の定義とは何なのでしょうか。weblio辞書によるとこのように書かれています。

ホワイト企業(ホワイトきぎょう)は、就職活動を行うに際し、入社後に福利厚生が整っていたり離職率が低い、各種法令や社内規則を遵守しているとして入社することが好ましいとされている企業。

Weblio辞書

言葉の定義は様々で、人によって受け取り方は違うかもしれませんが、世の多くの人は「ホワイト企業」と聞いた時にこんなイメージを持つと思います。働きやすい、福利厚生が整っている、残業代がちゃんと出る、法令や社会通念を遵守している、離職率が低い、パワハラがない…などなど。要は社員にとって働きやすい会社というイメージですね。

ただ、時代が変われば「理想の働き方」も当然変わってくるのが当たり前なわけで、特に今の時代は、実に多様な働き方が可能になりましたし、それが常識になりました。終身雇用も年功序列も機能しなくなり、政府も副業を推進するようになりましたね。インターネットの商用利用ももはや当たり前となり、個人規模で小さなビジネスを起こし、一般的な会社員の数倍もの額を稼ぎ出すような個人も珍しくなくなりました。

このような時代において画一的な「理想的な企業論」を振りかざすこと自体が、もはや時代遅れなのかもしれません。それに「良い給料をもらって、福利厚生が充実した会社で働けて幸せ」と感じられやすい時代かというと、そこにも疑問符がつきます。

以前のように国全体が成長していて、日常の中で入ってくる情報も少なく、働き方の多様性も小さかった時代では、経済的に不安がないことと働きやすい職場に在籍できることの両者が掛け合わされば、十分に幸せに生きられたかもしれません。

ただ、物質的に満たされることが前提となって、国全体の経済成長も止まっていて、更にはAI時代の到来により、これまでの常識が前提から覆されるようになった社会において「会社が与えてくれる状況」がどれだけ魅力的になろうと、そこに意義を見出せなくなる人が多くなったとしても何も不思議ではありません。

会社がホワイトでも心がホワイトじゃなければ意味がない

どれだけ自己分析しても「就職したくない」という結論以外出てこなかった僕ですが、世間体の良い会社に内定をもらい、大学を卒業して1ヶ月が経った4月には晴れて社会人になりました。いつから「会社を辞めたい」と思っていたかは記憶にありませんが、確か入社式のその日から思っていたんじゃないかな。毎日早起きをするのもキツかったし、スーツに着替えて満員電車に揺られるのも厳しかった。あとは大学4年間を過ごした東京から離れて、地元の名古屋にUターンすることになったのも心に引っかかっていました。

2ヶ月ほどの研修期間が終わって、とある営業所に配属されてからは、毎日毎日吐きそうな思いをして会社に行っていました。何が辛かったのか。何が苦しかったのか。それは一言で表せるものではなくて、きっと色々な細々としたことの積み重ねだったんだと思います。ただ1つ言えるのは、僕は毎日営業車に乗っている時に「この車が事故を起こして大破すれば楽になれる」と思っていたのと、今でもその当時のことをちゃんと思い出そうとすると、眩暈がしそうになるということです。

もちろん、優しかった先輩もいたし、お世話になった人もたくさんいます。あの人がいなければ、僕はもっと大変なことになっていただろうなと心から思える、尊敬する上司もいました。そして、僕が勤めていた会社は世間一般の水準からすると、とても恵まれていたこともわかっていました。だからこそ「この会社で生きていけないなら、きっとどの会社に行ってもダメなんじゃないか」と感じられてしまい、それが何より僕の心を蝕んでいったんです。

その時、僕は気づきました。どれだけ会社がホワイトだろうと、自分の心がホワイトになれなかったら何も意味がないんだなと。当たり前のことですが、今までは「良い会社に入れば幸せになれるに違いない」と、自分の幸せを他者に依存しすぎていたんだと思います。

そもそもブラックかホワイトかなんて人によって違います。以前、著名な音楽会社の社長が言っていましたが、仕事が好きで好きで仕方ないのであれば、1日15時間とか20時間とか働いても別にいいじゃないですか。それを「規則だから」と1日7時間に制限してしまう方が、幸せを奪ってしまいかねません。

僕たちが会社をホワイトだブラックだと気にするのは、最終的には僕たち自身が幸せに生きるためでしょう。だったら、他ならぬ自分自身の心をファーストで考えてあげたって、何も問題はないはずです。

僕は心が壊れそうになって初めて、本当の意味で自分の人生を生きられるようになりました。

本当にやりたいことは自分でもなかなか分からない

僕は別に自己成長とかエキサイティングな体験を求めてホワイト企業を辞めたかったわけではなかったとお伝えしました。むしろその真逆と言いますか、会社に行くことなく、自宅で好きなだけ本を読んだり、音楽を聴いたり、海外サッカーを見ていられたらどれだけ幸せだろうかと思っていたんです。

そして好きな時に外に出て、お気に入りのカフェを見つけて、アイスコーヒーで喉を潤して、お店の人と仲良くなっちゃったりして、夜は行きつけのお店でお酒を飲んで、酔いを覚ますために少しだけ遠回りして家に帰る。僕が実現したかったのは、紛れもなく「大学生活の延長線上の未来」でした。

それは今でも変わっていないのですが、会社員一年目のある日、ちょっとだけ僕の心に変化を起こした出来事がありました。

僕は先輩と一緒に営業に出て取引先を回っていました。1日に何件か回っていた取引先の中に「脱サラをしてカフェを開業する人」がいたんです。新人にちょっと毛が生えた程度の僕は、特にその方と会話をする機会はなかったのですが、オープンを控えた工事中のカフェの中でTシャツにデニムで商談に臨むそのオーナーさんが僕にはたまらなくカッコよく思えました。

その時初めて、僕は自分でビジネスをやってみたかったんだということに気づきました。

「やりたいことは何?」と聞かれても、多くの人はすぐに明確な回答を出すことはできません。そして「自分のやりたいことは何だろう」と自分自身に問いかけてみても、納得のいく回答など少しも出て気やしないのが普通です。

でも、ふとした何気ない瞬間に「もしかして自分がやりたかったことはこれではないだろうか?」と思える瞬間は必ずやってきます。しかも、全く関係ないことをやっていたり、縁もゆかりもない場所にいる時に、まるで啓示のように降りてくることが多いです。

例えば「サウナを開きたい」という夢が降りてくるのは、サウナに入っている時ではありません。全然関係ない街をブラブラしていたり、急に雨に降られて「ついてないなぁ」と思っていたり、何てことのない瞬間に自分のやりたいことはふと浮かび上がってくるのだと思います。

でも「やりたいこと」が降りてくるには、それまでに色々な経験をしておく必要があるのも確かです。色々な人に会ったり、行ったことのない場所に行ったり、やった経験のないことをやってみたり。そういう風に数多の点を打ち続けることで、いつしか自分の無意識レベルで点と点がつながり、一本の線に結ばれるものです。

「本当にやりたいことは何だろう?」とピンポイントで点を打つように考えても、自分のやりたいことはなかなか見えてきません。僕たちに必要なのは、とにかく色々な経験をしてみて、そして啓示が降りてきた時にちゃんとそれに気づいてあげられるように、心の感受性を高めておくことです。

会社での10年後の自分を想像する

「会社を辞めたい」という気持ちは十分にリスペクトすべきです。ただ、だからと言って刹那的な感情のままに会社を辞めることは僕はオススメしません。なぜなら会社を辞めることはいつでもできるけど、その会社に入り直すことは非常に難しいケースがほとんどだから。特に辞めようとしている会社が「ホワイト企業」と呼ばれるような、就職先として非常に人気のある会社であれば尚更です。

仮に今あなたが会社を辞めたいとしても、あなたが働いているホワイト企業の真価が発揮されるのは、おそらく30代半ばから後半にかけて以降ではないでしょうか。それに面白みのない一般論のようで申し訳ないですけど、大手のホワイト企業に勤めているというだけで一定以上の社会的信頼が得られて、人生が比較的イージーゲームに進む可能性も否定できません。それこそ、融資を引いて不動産投資なんかもフリーランスでやるよりも遥かに簡単にできるようになります。

だからこそ、今の自分の状況だけで判断するのではなく、自分の10年後、20年後を投影できるような先輩社員を見つけてみてください。できたら一緒に飲みにでも行けたら理想です。そして彼らがどんな仕事をしていて、どんな生活をしていて、どんな気持ちで日々を生きているのかを、できるだけ高い解像度でキャッチするようにしてください。

幸いなことに僕には、研修期間を終えて職場に配属されたちょうど1ヶ月後に同じ大学出身のOBの方々に歓迎会を開いていただく機会がありました。またその3ヶ月後には大学のOBだけが参加する社員旅行がありました。

当時の僕は会社を辞めたくて辞めたくて仕方がありませんでしたが、少しばかりの希望は残っていたんです。今は正直かなり辛いけど、ただ単に社会人生活に慣れていないだけかもしれない。もしかしたら長く働いているうちに状況は良くなって、幸せな人生を送れるようになるかもしれないと。

幸運にも僕は入社して間もない頃に20〜30人くらいの、これから自分が辿るであろうルートを辿っている先輩社員の方々と深く話せる機会を得ることができました。先輩たちはみんな優しくて、自分が今どんな仕事をしているのか(そして、それがいかにくだらない仕事なのか)を丁寧に教えてくれて、そして「この会社は早く辞めた方がいい」と色んな方から背中を押してもらえました。

あれから年月を重ねた今、彼らの言葉がどれだけ本心に近いものだったか疑問に思うこともあります。特に日本では、そしてお堅い大企業に勤めている人なら尚更、「俺のやってる仕事は最高だよ!」と後輩に対して声高に主張することは少ないように思います。仕事への愚痴や生活への不満、会社の悪口も、なんてことのないコミュニケーションの一環で、感情的にもフラットな挨拶程度のものなのかもしれません。

ただ、それでも僕は先輩たちのリアルな姿を見て、そこに自分の10年後、20年後の姿を投影することができたことで「自分の未来はここにはない」と直感で思うことができました。少し話すだけで、100%の理解などできるわけはありませんが、それでも今の自分の状況だけで判断せずに、できる限り未来の自分を想像した上で辞めるかどうかを判断するのは、とても大事なことです。

様々な選択肢に触れてみる

今の会社での5年後、10年後を想像するのと同様に、今の自分にどんな選択肢があるかを冷静な視点でリストアップしていくのは非常に重要です。そして、できるだけ「その選択肢を選んだ先の未来」も高い解像度でイメージができるといいですね。

実際に人に会って話すことができればベストですが、それができない場合でも、読書をしたりYouTubeを見ることでも新しい世界への扉を開くことができます。僕はMcGuffinというメディアが好きで、特に店舗を経営している人の特集を見ることを好んでいます。

僕は会社をいつか辞めたいと思って生きていましたが、だからと言って、辞めた後に何をしたらいいか全く見当がついていませんでした。強いて言えば、営業先で出会ったカフェのオーナーさんに刺激を受けて「何か自分で会社に縛られずにビジネスをしてみたい」というアバウトな希望があったくらいです。

自分の内側をどれだけ探っても、あるいは自分探しの旅に出たとしても、人生の答えを見つけることは誰にとっても難しいものです。だからこそ、色んな人と話して、自分の枠組みを超えたところにある世界に少しでも多く触れることが大事なのではないでしょうか。

直接会うことには限界があるので、書籍やインターネット上の出会いでも構いません。少しでも自分の理想に近い生き方や働き方を実現している人を見つけたら、その人が出しているコンテンツをくまなくチェックすることで、誰かの人生を追体験することができます。そして今の自分の延長線上にない未来に、ほんの少しでも触れることができます。

どうしても一つの会社で働き続けると、価値観や常識も凝り固まってくるものです。だからこそ、意識的に外の世界に触れることで、新しい人生のロールモデルを見つけることが重要です。

親の言うことはあまり気にしなくていい

世間一般でホワイト企業と呼ばれるような会社を辞めたいと考えていることに対して、世の中の9割以上の人は否定的な目を向けることでしょう。特にあなたのことを心から大切に思っている親であれば尚更です。

でも、親世代の常識と今の時代の常識は異なります。加速度的に変化し続けているこれからの時代において、過去の常識や思い込みで物事を判断する必要なんて全くありません。

それに最終的に親の望むことは、我が子が幸せに生きることではないでしょうか。そして人が幸せに生きるためには「自分の頭で考えて決定すること」が大きな要因を占めることは、誰にとっても明らかです。

きっと世の中の多くの親は、自分の子どもがホワイト企業に入社し、そして働いていることを大きな誇りに感じているはずです。だから、そんなホワイト企業を辞めようと考えようものなら「せっかく入ったのにもったいない」とか「誰もが入れるような会社じゃないのに」とか色んなことを言ってくる可能性があります。僕もそうだったから、とてもよくわかります。

でも最終的には、僕たちが生きているのは自分の人生です。仮に失敗したり後悔したとしても、親が責任をとってくれるわけでもないし、親が時間を巻き戻してくれるわけでもない。それなら、自分の頭で考えて、自分で決断をして、自分で責任を持って行動するのが筋というものでしょう。

そのために外部の意見を取り入れたり、考えるための材料として色んな人の話を聞くことは絶対にやった方がいいです。上述した「人に会いにいく」のも「本を読む」のも「ネットでリサーチする」のもその一環。自分の頭で考えて自分で決断をするためには、そのための知識や情報が必要ですから。

でも、最終的には自分の人生なんだから自分で考えて自分で決めましょう。幸せに生きたいのなら、人生の主導権を自分以外の人に渡してはいけません。

すぐに会社を辞めなくていい

上でも少し触れましたが、別に会社を辞めたいからといって、今すぐその会社を辞めなくてもいいです。僕も会社を辞めるまでには結局2年強の時間がかかっています。

あなたが辞めたいと思っているホワイト企業は、相当に倍率も高いはずです。入社したくても誰もが入社できる会社ではありません。内定をもらうには運も必要です。もう一度、就活をして面接を受けられるところまで漕ぎ着けて、以前と全く同じ受け答えができたとしても、また内定をもらえる保証はありません。

辞めるのはいつでもできます。でも、辞めた会社には基本的に戻れません。

ホワイト企業に限らずですが、基本的に会社に行って定時の間、普通に仕事をしていれば給料をもらえます。その間、どれだけ嫌なことや辛いことがあっても、会社にいさえすれば給料が入ってくるのです。そして、一般的にホワイト企業であれば、その「嫌なこと」の割合は平均よりも少ないはずです。

現実問題として、生きていくためにはお金がかかります。ライフワーク(=人生を輝かせる仕事)を求めてホワイト企業を辞めたいと考えていたとしても、ライスワーク(ご飯を食べていく=生きていくための仕事)という尺度でいうと、ホワイト企業が与えてくれる環境以上のものはありません。

僕も「会社を辞める」ことを決めてから、2年弱の期間を独立までの準備期間にあてました。ただひたすら本を読んだり人に会いに行ったりしましたし、実際に副業を始めたりもしました。ブログを立ち上げてアフィリエイトを行って、会社のお給料の2倍ほどの収益源を作って、経済的な基盤も整えました。

不思議なことに「いつこの会社を辞めてもいい」と思うと、あれだけ嫌だった会社員生活もそれなりにこなしていけるようになりました。通勤中の景色も、心の底から苦手だった先輩も、退屈な会議の時間も「あと数えるほどしか経験できない」と思うと、途端に貴重なものに思えてきたんです。

もし「別に辞めるほどのことではない」と思えてきたら、そのまま会社員生活を続ければいいと思うし、「やっぱり無理だ」と感じたら、その時に退職すればいいじゃないですか。いずれにしても、ホワイト企業に入社した恩恵を存分に受け取るのであれば、会社員生活を続けながら、辞めるための準備を着々と進めていくのがベストかなと感じます。

もちろん、そういう理屈とは関係なしに「どうしても無理だ!」と思えてしまうかもしれません。その時は自分の心を最優先にして辞めてしまえばいいでしょう。ただ、僕は「辞めたいなら今すぐに辞めろ」とは思いません。新卒で入社して、手取りで20万円前後の給料が毎月振り込まれるとして、その毎月20万円は今後の新しい人生を生きていくための貴重な軍資金になります。その軍資金があれば今後の人生の選択肢を増やすこともできるので、戦略的に人生をプランニングしていけばいいのではないでしょうか。

僕も会社を辞めるまでに、独立起業後のことを見据えて、あるいは副業で成果を出すために、たくさんの自己投資をしました。毎月給料の4分の1くらいは何かしらに投資していたんじゃないかと思います。その結果として、自分のビジネスを構築した上で会社を辞められるようになりました。会社からの給料がなければ、本を買うことも勉強にお金をあてることもできなかったわけなので、結果論かもしれませんが、辞めたいと思った時にすぐに辞めなくてよかったと思っています。

会社を辞めるベストタイミングはいつか

結局、会社に退職願を届け出たのは、僕が会社を辞めることを決意してから2年弱が経過した、会社員3年目のゴールデンウィークが明けた日のことでした。当時の僕は副業も軌道に乗っていて、会社からもらえるサラリーの2〜3倍ほどの収入を得ることができていました。調子がいい月は100万円を超えることもありました。更に新しいビジネスの仕組みづくりも同時並行で進めていて、更に売上が数倍規模で伸びると同時に基盤が安定することも僕の中では確定していました。

僕は慎重な性格です。だから「会社を辞めても数年は問題なく生きていける」という確信を持ってからじゃないと辞めることはできませんでした。その時には会社にもだいぶ慣れて、社会人1年目の時のように「死にたくなるほど辛い」ということはなくなっていたので、このままズルズルと会社員を続けていた可能性もありました。

ただ、僕の中で会社を辞めることは入社直後の時からいわば確定事項であり、問題は「いつ辞めるか」だけでした。正直、僕はまだまだ先延ばしする気満々でした。会社を辞めたいとはいえ、実際に辞めてしまうのは、とても勇気のいることですから。ただ当時の恋人(今の妻)から「そんなこと言ってると、いつまで経っても辞められないよ?」とグサッとくる一言を言われたことが大きな後押しになりました。

また脱サラ経験のある父からも「そんだけ稼いでるんだったら普通に考えて会社なんか辞めるだろ」と言われたことも大きかったです。結局は自分の人生なのだから自分で決めるしかないんだけど、自分の人生だからこそ自分では分からないこともたくさんあります。そんな時こそ、周りの声を聞いて自分が率直にどう思うかを確認してみるのも大事なことだと思います。

周りの声に自分の意見を合わせるのではなく、自分の本当の思いを確かめるためのトリガーとして周囲の声を活用するイメージです。実際に「別に会社を辞める必要なんてないんじゃない?」という声もたくさんいただきました。副業でそれだけ稼いでいるんだから、会社を続けていても十分に幸せじゃないかと。

「冗談じゃない」と僕は思いました。会社を辞めるために副業を頑張ってきたわけだし、何より昼は普通に会社に行って、会社から帰宅したらずっと副業をやっている人生なんて、いったい何が楽しいというのでしょうか。僕は別に副業をしたかったわけじゃないんです。ただ今よりもちょっと自由に生きたかっただけ。そんな本音を思い出すことができたのも、周りの色々な声(賛成意見だけじゃなくて反対意見も)が僕の耳に届いて、そして反射的に様々な感情を抱くことができたおかげです。

多分、会社を辞めるベストタイミングなんてありません。「こうなったら会社を辞めてOK」という条件なんかも同様に存在しません。

僕は外堀が完全に固まらないと行動に移せないタイプでしたが、ノリと勢いで会社を辞めて大成功している知人もたくさんいます。それと同じように、どれだけ入念に準備をしてから会社を辞めようが、あるいはノリと勢いで会社を辞めようが、上手くいかない人がいるのも当然です。

大事なのはベストタイミングを見極めることではありません。自分の行動を後から振り返った時に「あの時がベストだった」と心から思えるように、会社を辞めた後に後悔のない行動をすることではないでしょうか。

人生に失敗というものがあるとすれば

何か思い切った行動をする時に「失敗したくない」という心理が働くのは、きっと多くの人に当てはまることだと思います。

ただ一度冷静に考えてみてほしいんです。「失敗」とはいったい何だろうかと。

そもそも失敗とは客観的事実ではありません。多くの人が失敗だと受け止めたとしても、本人がそれを前向きに捉えることさえできれば、それは「成功」への一歩ということになります。たとえば、りんご農家が台風の直撃によってほぼ全ての作物をダメにしてしまって、何千万円という損害を出してしまったら、それは世間一般では「失敗」と捉えるかもしれません。ただ、奇跡的に残ったわずかなりんごを「落ちないりんご」と称し、縁起物としてプロデュースすることで大ヒット商品を生み出すことができ、翌年からも売れ続けるブランド化することができたら、災害による被害も成功の契機として捉えることができます。

結局のところ成功か失敗かなんてことは、他人が決めることではなく、自分の心が決めることです。

もし人生に失敗というものがあるなら、それは自分の本心に背いた行動を取り続けた結果、最終的に「自分の生きたい人生を生きられなかったな」と後悔してしまうことです。

会社を辞めて独立起業して失敗して路頭に迷うことがあったとしても、それは僕の人生にとって失敗ではありませんでした。それよりも何も挑戦しないまま一生を終えてしまうことの方が、僕にとっては「失敗」に近いのだろうと思ったんです。もし仮に挑戦しなかった先の未来に安定した暮らしが待っているとしても。

だから結局は自分の本当の気持ちを知るための行動を起こすしかないのです。自分で考えても埒が開かないのであれば、他人に答えを求めるのも悪いことではありません。自分一人の頭で考えられることや想像できることなんて限界があるのが普通です。だったら、人に会ったり、本を読んだり、こういうWEBコンテンツに触れたり、セミナーや勉強会や交流会に参加してみたり、映画をみてみたりして、自分の本音が浮かび上がってくる時を待ち続けましょう。焦らなくていい。コツは無心になって、よく観察したり話を聞いたりして、入ってくる情報とその時の心の変化に集中してあげることです。

ホワイト企業を辞めて後悔していないか

多分、こういうことが気になっている人もいるんじゃないかと思うから話します。僕自身が「ホワイト企業 辞めたい」という検索をする立場に立ったと仮定したら、間違いなくこういう話を聞きたいと思うから。しかも「全く後悔してません!幸せです!」という意見だけじゃなくて「こういう部分はちょっと後悔してるかな」というポイントも聞きたいと思うから、それも踏まえてお話ししようと思います。

まず大前提として後悔は全くしていません。なぜなら自分で選んだ決断だったから。もう会社を辞めて8年が経つわけで、会社員生活を送っていた時間よりも、会社を辞めた後の生活の方が長くなっています。独立して会社を作ったけど、そこから更に3社も会社をやることになったし(途中で畳んだ会社もありますが)、正直なところ、辞めた会社がホワイトだったかブラックだったかとかに関心がなくなっているんですよね。

自分が選ばなかった人生に目を向けることにあまり意味はないと思うし、その行為自体に価値を感じることもないので、ホワイト企業を辞めたから後悔してるとか、そういうことを考えることさえ正直ありませんでした。例として正しいか分からないけど、ずっと前に別れた元恋人のことをそんなに思い出さなくなるのと似たようなものかもしれません。

確実に言えることは、僕は今の人生に心から満足しているということです。

それは別に会社員を続けていたら絶対に手に入らないような報酬を得られたとか、好きな場所に住めるようになったとか、欲しいものはよっぽど高価なものでない限りは普通に買えるようになったとか、毎日を自由に生きられるようになったとか、そういう理由だけではありません。

そんなことよりも自分で自分の望む人生を生きられている実感を心から得られているということが僕にとって何より大きいです。そして今までは、どちらかというと人の目を気にして社会のレールに沿って生きてきた僕が「人生はもっと自分らしく楽しんでいいものだ」と本当の意味で思えるようになったことが、僕にとって最高の財産だと思っています。

結局、幸せかどうかとか、後悔してないかどうかっていうのは、環境や状況が与えてくれるものではなくて、自分の心で感じるしかないことです。だったら、自分の本音に沿って生きるのが一番だと思うし、人生を自分の意思でデザインしていくことに勝る価値はないはずです。

強いて後悔してるポイントがあるとするなら、大企業の会社員として出世していく先の未来を味わうことができなくなってしまったことくらいでしょうか。たまに『島耕作』シリーズなんかを読んで、出向して色んな業界に触れたり、派閥争いなんかに巻き込まれたり、最終的に政府関係者と意見交換している主人公を見ては「面白そう!」と思ってしまうわけですが、冷静に考えて、普通に会社員をやっていたって島耕作の世界観はファンタジーのようなものですよね。多分。きっと。知らないけど。

僕には今の個人で起業してゆるりと生きていくという道が似合っていたというだけで、人それぞれベストな人生なんてきっと全然違うはず。それに来世という概念がないのであれば、人生は一回しかないわけで、自分が好きなように生きればいいんじゃないかと心から思います。

今という時代ほど、多様性が認められて、様々な生き方ができる時代はこれまでありませんでした。僕みたいに個人(+その周りの人たち)が自由に生きていくくらいであれば、当たり前の努力を継続できるだけで、そんなに難しくなく実現できる時代です。会社で辛い思いをして頑張るくらいなら、それと同じくらいの頑張りを個人のためにやってみてもいいんじゃない?と思います。

それに仮に多少しくじったところで、今の日本に生きていて、職にあぶれて餓死してしまうというのは、どう考えたって想像しにくいですから。

学歴とかこれまでのキャリアが通用しない世界ではあるけど、それ以上に自分で考えて、自分で行動して、人生が徐々に広がっていく感覚を持てる生き方は最高です。この時代の日本に人間として生まれてこれただけで僕たちは十分に幸せなはずです。今の時代を恩恵を受ける価値は十分すぎるほどに大きいからこそ、歴史上で最も挑戦のハードルが低く、そして自由に生きられる状況にいられることを、もっともっと僕たちは生かしていいんじゃないかなと思います。

まとめ

自分が勤めている会社がブラックかホワイトかなんて、結局は自分自身の受け止め方次第ではないでしょうか。仮に世間的に「ホワイト」という評価を得ていたとしても、自分にとって良い会社だと思えなければ、そこに何の価値もないわけです。

ただ、注意すべきは今の自分にとって良い会社ではなかったとしても、5年後、10年後、あるいは20年後の自分にとってはすごく良い会社かもしれないということ。「ホワイト企業を辞めるなんてもったいない!」という意見は、そうした中長期的な視点が前提になっています。

ただ、加速度的に変化する今の時代、果たして10年先20年先のことを考えることにどれだけ意味があるか疑問ですし、20年後の自分が健康に元気よく生活できている保証なんて全くありません。結局のところ、未来のことなんて誰も分からないし、誰も保証してくれるわけじゃないんです。

結局は「好きなように生きろ」ということになりますが、自分が納得感を持って選んだ答えなら、それはいつだってきっと正しいはず。一度しかない人生です。ぜひ悔いの残らないように生きてやりましょう。

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コギシノゾムのアバター コギシノゾム 株式会社BILLETT、MAKEST代表

スモールビジネス×ブランディングの専門家。副業で月間100万PVを集める情報サイトを運営していたことがキッカケで、マーケティングやコピーライティングの世界に深くのめり込む。2015年に独立起業。以降は個人起業家や中小企業オーナーを対象にブランディングやビジネス構築のコンサルティングを行う。理想の顧客に売り込まずに売れるブランド重視の情報発信ビジネスの提案力が、自分の想いを大切にしたい顧客から多くの支持を得ている。

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