「人間が変わる方法は3つしかない(大前研一氏)」について考える

経営コンサルタントの大前研一氏が著書『時間とムダの科学』にて語った次の言葉をご存知の方は多いはずです。

人間が変わる方法は三つしかない。一つは時間配分を変える、二番目は住む場所を変える、三番目は付き合う人を変える、この三つの方法でしか人間は変わらない。もっとも無意味なのは「決意を新たにする」ことだ。かつて決意して何か変わっただろうか。行動を変えない限り、決意だけでは何も変わらない。

大前研一『時間とムダの科学』

きっと世の中にはたくさんの「自分を変えるためのライフハック」が存在しますが、結局はこの3つに落ち着くことになるのでしょう。

そして、僕はこう思うんです。

この3つの方法を提示された時に「もっと他に良い方法があるはずだ」と考え、別の選択肢を模索しようとする時点で、きっとその人が変わることはとても難しいんだろうなと。

目次

大前提:自分を変えるのは困難だ

そもそもの話、自分を変えるのは、とてもとても難しいことです。

「自分」を構成する要素は無数にありますが、自分を自分たらしめる最大のポイントは「自分自身が世界をどう見ているか」だと思います。つまり、何か出来事が起こった時に、その出来事をどのように捉えて、どのように解釈して、どのように自分自身の未来に結びつけるか。その「思考のフィルター」こそが「自分らしさ」と呼ばれるのではないでしょうか。

自我が芽生えて間もない幼少期であれば、日常生活を送る中で「考え方が変わる」すなわち「自分が変わる」ことは自然と起こりうることかもしれません。

しかし、20〜30年以上生きてくると、考え方も性格も、物事の受け取り方も、他者とのコミュニケーションの取り方も、自分の内面に関するあらゆる事象は凝り固まっていくのが普通です。

だから大人になった後で、自分を変えようと思っても、なかなか上手くいきません。

僕も時々自分のダメさ加減に嫌気がさします。いつもいつも同じ原因で物事が停滞したり上手くいかなかったり傷ついたりするわけです。でも人生なんてそんなものだし、みんな少なからず自分と同じような悩みを抱えているのだろうと思うことで、気持ちを切り替えることができています。

敢えて断言すると「自分は変えられる」と僕は信じています。

ただ、それはそんなに簡単なことではありません。

中途半端な気持ちで中途半端な行動をとったところで、思考や行動はすぐに元通りの状態を目指そうとします。その結果、途中で挫折をしてしまって、結局何も変えられないというのは多くの人が経験したことがあるでしょう。

だからこそ、本当に自分を変えたいのであれば、「自分を変えるのはとても困難だ」という前提を持ちましょう。そして、今からやろうとしていることは自分が想像している以上にタフで難しいチャレンジなんだという認識のもとで、一大プロジェクトに挑む感覚で取り組んでいきましょう。

変えやすいところから最優先で変えていく

ここまでの話で「自分を変えること」がいかに難しいかわかっていただけたはずです。

だからこそ、僕たちは自分自身を変えたいと思った時、まずは最も変えやすいところから確実に変えていくことが重要なのです。

では「変えやすいところ」とは一体なんでしょうか?

  • 変化がわかりやすいこと
  • 変化するまでに要する時間が少ないこと

この2つの条件が揃う部分だと僕は考えています。

例えば「見た目」です。「痩せる」とか「綺麗になる」ことで、周囲からの声も変わり、日常生活に様々なプラスの影響が加わり、次第に内面から自信も満ちてきます。「筋トレで人生が変わる」と主張する人も多いですが、まさにその通りだと思います。

このように「見た目」の変化の場合、変化をしたことが誰の目から見ても一発でわかります。だから自分自身も変化の効用を大きく実感できるため「もっと自分を変えていこう」という意欲が内側から自然と湧いてくるようになります。

僕もビジネスのコンサルタントとして多くのクライアントさんと日々接していますが、やはり大きな成果(収入)が出た人は見違えるように変わります。表情も顔色も声のトーンも全てが変わり、もはや別人のように感じられるようになる方はとても多いものです。

このように「収入」や「仕事の結果」も、変化の尺度がわかりやすいテーマですね。

ただ「ダイエットに成功する」「収入を増やす」といったことは、変化までの期間も長く、途中で挫折する可能性も高いです。そしてダイエットやビジネスで成功するための前提条件に「自分を変える」ことがあるとも言えますので、自分を変えるための手段としてそれらに取り組むのは少々現実的とは言えません。

それに対して大前研一氏の提唱している方法であれば、難易度が低いことに加え、スピード感も早いですよね。「住む場所を変える」にしても、内見をして契約を結んで、引っ越しをするだけ。多少の出費があったり、入居開始までにそれなりの期間を待たなくてはいけない可能性はありますが、基本的には「簡単かつすぐに」変えることができます。

そして自分自身でも容易に実感できるほどに、変化のわかりやすさも大きいですよね。

引越しすらできないようでは自分を変えるのは難しい

ちょっと厳しく聞こえるかもしれませんが、これが真理だと思います。

もちろん、結婚していて小さなお子さんもいて、住宅ローンもあって…という場合は決して簡単ではないかもしれません。それでも「内面を変える」よりは遥かに簡単です。それに独身だったり、結婚はしているけど、子どもはいなくて賃貸暮らしの場合は、引越しのハードルってそこまで高くないですよね。

もちろん、1日かけて内見をしたり、引越し業者を決めたりすることは痛手かもしれません。仲介手数料等で出費も増えるかもしれません。

ただ、お金が不安だとしても、不用品をメルカリで売ったり、単発でアルバイトを入れてみたり、今の時代であれば目先のお金を稼ぐ手段はたくさんあります。

それすらも「面倒だ」とか「できない」と感じてしまうのであれば、やはり自分を変えるのは難しいと言わざるを得ません。もしかしたら、そこまでして自分を変えたいとも思っていないのかもしれないです。

先人の知恵よりも自分の感覚を優先してしまう人

あるいはこういうパターンも考えられます。

  • 「時間配分を変える」
  • 「住む場所を変える」
  • 「付き合う人を変える」

という意見を聞いて「本当かな?」と訝しんだり「そんなことで人生を変えられるわけがないだろう」と最初から拒絶をしてしまう。

他者の意見を聞いたとき、斜に構えてつい否定してしまう。気持ちはわからないでもありません。特に「自分を変えたい」と思っている時って、今の自分に自信が持てなかったり、自分の現状に満足がいっていないわけじゃないですか。

そういう時って、つい誰かの意見を否定したくなるものです。自分よりも上の立場の人の意見に横槍を入れることで「自分も○◯さんの意見に反論できるくらいすごい人」になった気分になれそうですから。

でも潜在的には自分に自信がないわけですから、目先の行動で誰かを否定してみたところで、「本音と行動」のギャップに苦しんでしまい、ますます自己嫌悪感が増してしまうだけです。

だからこそ、本当に自分を変えたいのであれば、まずは自分を覆う硬い殻を脱ぎ捨てる必要があります。

マインドをオープンにして他者の意見を素直に受け入れる土壌を作る。そうすることによって新しい物の見方や価値観、考え方が面白いように吸収できます。「自分を変えたい」と思っているのに、自分の凝り固まった考え方に固執してしまうのは、大きく矛盾しています。

だからこそ、まずは自分の中に存在する大いなる矛盾を取り払っていけないといけません。そこが全てのスタート地点です。

変えられるものは、全て変えるくらいの勢いで

一貫してお伝えしているように「自分を変える」のは相当に難しいことです。

僕も日々経験しているのでわかります。自分の至らないところを直そうと思って努力をしてみても、一瞬は変わることができるけど、月日が経つにつれて次第に元の自分に戻されていく。これが人間の弱さなのでしょう。

だからこそ、住む場所も、付き合う人も、時間配分もそうですが、変えられるものは全て変えるくらいの勢いで、少しでも確実に「変化する習慣」を身につけていきましょう。

どれだけ小さなことでもOKです。

例えば、普段はハードロックを好んで聴いているけどクラシックやジャズを聴いてみるとか。ファミレスに入った時、いつもの自分なら選びそうにないメニューを注文してみるとか。帰宅時に通る道をいつもと変えてみるとか。

「ルーティンなんてクソ喰らえ」という意識が重要です。積極的に毎日の習慣を壊しにかかり、新しい物事を始める癖をつけていきましょう。

余談ですが、僕の周りにいる「この人、人生うまくいってるんだろうな〜」という人は、みんな「これオススメだよ!」とか「これやってみたら?」と他者からオススメされたものに対するフットワークが本当に軽いです。

例えば「このYouTube面白いよ!」と友人からおすすめされたら、すぐにチェックして即座に感想を伝えられるくらいになれれば、かなり「変化しやすいマインド」になれているんじゃないかと思います。

人生を変えるには、まず自分が変わろう

自分以外のもの(環境、他人、職場、政治、社会など)を変えるのはまず不可能です。

だからこそ自分の置かれた状況を変えたいと思ったら、「自分自身を変える」ことが一番手っ取り早く、そして確実な方法となります。

人生の所有権はあくまで自分自身にあり、自分が変わることなくして人生が変わることはありません。

例えば、宝くじが当たって億万長者になれたとしても、自分自身の内面が変わらない限り、すぐに元の人生に戻ってしまうでしょう。(高額当選者の破産率が高いことは有名ですよね)

何かを新しく始める際「こんな自分でも大丈夫ですか?」と質問される方もいます。不安に思う気持ちもわかりますが、基本的には「大丈夫」なんです。だってこれから自分自身を変えていくことになるので、今の自分がどうかなんてことは大した問題にならないですから。

ただ「こんな自分」のままで、自分の未来を大きく変えるのはとても難しいです。

本当に今の人生を変えたいのなら、今の人生の延長線上にある未来に希望が持てないのなら、まずは自分自身を変えていきましょう。そのためにまず何からやればいいか。変わりやすいことから始めることです。

引っ越しをする、付き合う人を変える、1日の時間の使い方を変える。具体的で現実的で「すぐに始めやすい」ことから変えていくことで、確実に自分自身は変わっていきます。そして変化する習慣を身につけることができれば、本当に手に入れたい未来も確実に近づいていきますよ。

CHECK IT OUT!!

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この記事を書いた人

コギシノゾムのアバター コギシノゾム 株式会社BILLETT、MAKEST代表

スモールビジネス×ブランディングの専門家。副業で月間100万PVを集める情報サイトを運営していたことがキッカケで、マーケティングやコピーライティングの世界に深くのめり込む。2015年に独立起業。以降は個人起業家や中小企業オーナーを対象にブランディングやビジネス構築のコンサルティングを行う。理想の顧客に売り込まずに売れるブランド重視の情報発信ビジネスの提案力が、自分の想いを大切にしたい顧客から多くの支持を得ている。

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