セールスライティング|悩みの描写は「行動」を共に書く

セールスライティングにおける定石は「見込み顧客が抱える悩み」からスタートすることです。

見込み顧客が現在抱えている悩みを記載してあげた上で「私もそうだったので分かります」と共感してあげたり「その悩みを放置し続けると将来こんなリスクがありますよ!」と恐怖心を増幅させるようなアプローチをするのが王道で、PASONAの法則、PASTORフォーミュラといった、セールスライティングのトラディショナルな型においても、その流れが採用されていますね。

その辺りの「悩みの取り扱い方」については、こちらの記事で解説しているので、ぜひ合わせて読んでみてください。

まずは見込み顧客の悩みを示してあげて、共感 or 恐怖の訴求をしてあげる。最近では共感の方が反応が高まりやすいと言われていますが、世のセールスが共感に寄りすぎている場合は、あえて恐怖に振り切ってあげた方が、受け取り手も刺激を感じやすくなって、より心が動かされやすく可能性もあります。ここはご自身のブランディングや狙いに応じて変えてみてください。

そして、その悩みが生じた本質的な原因を示してあげた上で、解決策と具体的なアクションプラン(一般的なセールスの場合は「商品の購入」になりますね)を提示することで、オンライン上で売れるセールスを設計することができます。

今回は「悩みや痛みの描写」に関して、内面だけでなく、具体的な行動を示してあげることで、よりセールスの精度を高める方法を紹介します。

目次

共感が得られない悩みになっていないか?

そもそも「悩みの共有」から始まるセールスの導線において、最初の「こんなことにお困りではないですか?」「こんな辛い思いをしていませんか?」という部分で、見込み客の共感を得ることができなければ、見込み客はそこから先に続くあらゆるメッセージに価値を感じてくれません。

例えば、僕はもっとたくさんの本を読めたら良いなと思っています。ただ、現状で望むような数の本を読めていない理由は「文章を読むのが苦手だから」ではありません。そもそも買う本が多すぎて処理が追いつかない、他にやりたいことがたくさんって時間を確保できない、WEB上のコンテンツや映画、漫画など本以外のインプットしたいものもあるから、本に全てのリソースを充てることができないというのが、僕が満足いく読書量を確保できない理由なのです。

そんな僕なので「本を読むのって難しいですよね」とか「文章を読んでも頭に入ってこなくて辛いと悩んでいませんか?」と言われても、あまり共感することはできませんし。「この人は僕のことを分かっていないな」とか「この人が今からしてくれる話は自分にとって無関係のものだな」と思ってしまい、そこから先の話も真剣に聞かなくなってしまうことでしょう。

セールスライティングの世界には「3つのNOT」と呼ばれる原理原則があります。読まない、信じない、行動しないという3つのNOTですね。その中でも最も乗り越えるのが難しい壁が「読まない(NOT READ)」ですが、人は「自分に関係のない話」だと思うと、その話を積極的に読もうとしなくなってしまいます。

セールスレターやWEBページの場合は途中で読むのを辞められてしまい、ブラウザバックされてしまうのです。

もし最終的にオファーする商品が見込み客にとって魅力的なものだったとしても(例えば、この場合だったら「速読ノウハウ」や「超効率読書術」のような)、最初に提示される「こんなことに悩んでませんか?」がズレていたら、そもそも見込み客はオファーまで到達してくれません。途中でページを閉じてしまったり、集中力を無くしてしまうのです。

仮にオファーに到達してくれたとしても、本来の価値よりも低い価値しか感じてもらえなくなるので、必要性や重要性を理解しにくくなり、成約率が落ちることが考えられます。

一般的に、セールスライティングの最初における「悩み」の訴求部分は、ブレットと呼ばれる複数個の箇条書きで表現されることが多いですが、ここでいかに見込み客からの「そうそう!そうだったの!」という肯定的な感情を引き出せるかが、その後のセールスの精度を高めるために重要なのです。

曖昧なライティングでは心に刺さらない

おそらく、普通にマーケティング活動を頑張ってきたのであれば、全く見当違いな「悩み」を記述することは、まず起こらないだろうと思います。

それこそ、もっと痩せたくて困っている人に「あなたはもっと大きな身体になりたいと思っていますよね」とか、会社を辞めたくて困っている人に「あなたは明日世界が滅亡したらどうしようと不安で眠れないのではありませんか?」と言うようなことは、まずあり得ないはず。

おそらく、セールスの現場において、多くの人の「悩み訴求」が刺さらないのは、ベクトルが違うのではなく、言語表現があまりにも抽象的だからです。

痩せたくて悩んでいる人に「もっと体重を減らしたくありませんか?」とか「もっと痩せたいと思っているあなたへ」とか「太っていて悩んでませんか?」と伝えたとしましょう。その場合、相手側から「そうそう!実はそうなんだよ!いやーよく分かってるね!!」というリアクションは返ってくるでしょうか。

ほぼ確実に返ってこないだろうということは、きっとほとんどの人が理解できるはずです。

確かに彼らの悩みをギリギリまで解像度を下げて抽象化すると「痩せたい」とか「体重を減らしたい」とか「太っていて辛い」になるのでしょう。でも、こうした誰にでも当てはまるようなことを言われても、人は「自分に向けて語られている」とは認識しません。

「君が好きだ」と面と向かって異性から告白されても「どうせ、この人は他の人にも同じようなことをたくさん言ってるんだろうな」と丸わかりだったら、すごく萎えてしまいませんか?

特にネット上で販売されるコンテンツのように、不特定多数の人に向けてオファーされていると見込み客側からも認知されやすい構図の場合、特に「世界中でただ一人、あなたに向けて話しているんだ」という感覚を持たないといけません。

だから「曖昧な表現では刺さらない」のです。

読者の「行動」を記述する

では、どうしたらピンポイントで「自分ごと」として受け取ってもらえるライティングができるのでしょうか。

その1つの答えが「行動」を記述することです。

基本的に「思考」よりも「状態」の方が、そして「状態」よりも「行動」の方が抽象度が低くなり、そして具体に近づいていきます。

もちろん思考や心理といった目に見えないものを高い解像度で表現することも可能ですが、書き手側にも読み手側にも高い思考力と言語能力が要求されます。それなら「目に見えるもの=具体的なもの」を扱うことで、ライティングが不得手な人でも、誰でも具体的かつ高い解像度の文章を書くことができるようになります。

「悩み」というのは、基本的に目に見えないものです。具体的な事象ではなく、あくまで内面的な心理であるため「行動」として表現するのは難しいと思えるかもしれません。

ただ、今からお伝えする方法で「こんなことに悩んでいませんか?」を「行動」として表現してあげることができます。その結果、見込み客の当事者意識を引き出すことも可能になるのです。

では、実際に1つずつ見ていきます。

①悩みの原因になった行動を記す

1つ目は見込み客が抱える悩みの原因になった行動を示すことです。つまり、因果関係を指摘してあげることですね。

例えば、ダイエットで言うと「学生時代は痩せていたのに、社会人になってから接待や職場の飲み会が続いて気づけば体重が10kg以上増えてしまった」とか「仕事や恋愛のストレスで暴飲暴食をしてしまって、体重が〜(以下略)」とか「どうしても食後のデザートがやめられなくて(以下略)」といったものです。

悩みには必ず原因があります。そして、全ての見込み客は、それが合っているか合っていないかに関わらず、何かしらの原因に対しては自覚的になっています。

だからこそ、その原因になり得た行動を具体的に示してあげましょう。

②悩みを自覚する際の行動や場面を記す

見込み顧客は常に一定の温度感で問題や悩みに対して自覚的になっているわけではありません。その悩みのことを比較的忘れている瞬間もあれば、強く痛みや不安や悩みを感じる瞬間があるのが普通です。

だからこそ「どういう時に(何をする時に)悩みを感じる強度が強くなるか」を示してあげることで、見込み客の「わかるわかる!」を引き出すことが可能になります。

以前テレビ番組のダイエット特集をボーッと眺めていたら「オンライン会議でZoomの画面に映った自分を見て、二重顎に気づいてダイエットを決意した人」の話が特集されていました。ただ「太っていることに悩んでいる」と言われるよりも「オンライン会議で画面に映し出された自分の顔の丸さに絶望した」と言われる方が、ピンポイントでグサッと来ますよね。

同様に自己開示をする際にも「自分が強く悩みを抱えた瞬間」や「その時にとっていた行動」を具体的に記述することで、読者からの反応もより濃くなっていきます。

③悩みを解決するためにとっている行動を記す

見込み客があなたのオファーを受け取っているということは、何か具体的に悩みや不安を解決するための行動を既に起こしているということを意味します。

そして、それらの行動では自分の抱えている問題は解決できないと心のどこかで薄々と感じているから、新しい情報を収集しようとして、そしてあなたのオファーに辿り着いたのです。あるいは見込み客は、既に何かに挑戦をしたけど、何らかの理由で挫折をしてしまった可能性もありますよね。

例えば「毎日ランニングをしようと試みたけど、3日も経たずにやめてしまった」とか「水を毎日2リットル飲んでいるけど、正直何の意味があるかわからない」とか「夜19時以降は何も食べないようにしている」とか。

そういった、見込み客が問題を解決するためにリアルタイムで取り組んでいることを書いてあげるのも効果的です。

toCのビジネス系情報発信だと、例えば「集客の悩みを解決するために、毎日SNSのいいね回りを頑張っている」とか「個別のクロージングに疲弊している」と書いてあるケースはかなりよく見かけますね。

④悩みの解決後に取りたいと感じている行動を記す

これはいわゆる「ベネフィット」に近いかもしれません。「痩せたいと思っているあなたへ」よりも「痩せて○◯したいと思っているあなたへ」の方が、より強く感情が動かされますし、自分に向けて語られている印象を持つことができます。

「痩せたい」とか「彼女が欲しい」とか「子育ての悩みから解放されたい」とか「もっとお金が欲しい」といった表層的なウォンツの背景には、必ず「なぜそれを欲しているのか」という理由があります。

痩せたいと感じている人が本当に求めているものは、身体的な特徴の変化ではなく、今まで見下してきた連中を見返すことかもしれません。彼女が欲しいと感じている人が求めているのは、彼女そのものではなく、彼女と一緒にデートを楽しむことかもしれないし、あるいは記念日にひとりぼっちで過ごす孤独感の解消かもしれません。

もっとお金が欲しいと考えている人が本当に欲しいのはお金ではなく、お金があることによって得られる精神的な余裕かもしれません。その人はお金を手にしたからといって、タワマンに引っ越したり、ハイブランドの洋服を買うことを望んでいるのではなく、ただ平穏無事な暮らしをマイペースに楽しむことを心の底から渇望している可能性は大いに考えられますよね。

そういう顧客には「自由に使えるお金が増えたらいいと思っていませんか?」とオファーするよりも、「お金の心配をなくして、ずっと家で好きな本を読んだり自炊を楽しんだりして、何の変哲もない安定した暮らしを楽しんでいきませんか?」と案内する方が、よりオファーに対して前向きな感情を持ってもらえる可能性が高くなりますよね。

まとめ:大切なのは顧客を深く理解すること

なぜ抽象度が高くて曖昧な表現になってしまうのか。その理由は顧客理解が浅いことにあるのかもしれません。

誰よりも深く顧客のことを理解して、特定の一人を振り向かせるために情報発信をしていけば、自ずと具体性も高くなります。そして深い言語表現を心がければ、自ずと今回の記事で解説しているように「行動」にまで言及が及ぶはずです。

顧客は自分のことを誰よりも理解してくれる販売者・発信者から商品を買いたいと思うもの。だからこそ、顧客の「行動」に着目をして、自分が良き理解者であることを確実に伝達できるようにしていきましょう。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

SHARE
  • URLをコピーしました!
目次