セールスライティング上達のコツ|読者の悩みを高い解像度で描写しよう

セールスライティングに関して「上達のコツ」を1つだけ語って欲しいと言われたら、絶対的な自信を持って「読者の悩みを高い解像度で描写しよう」とアドバイスするでしょう。

僕自身、これまでオンラインマーケティングの世界で「文章」だけで3億円以上の売上を作ってきたり、数々のプロモーションセールスの裏側に入らせていただきましたが、とにかく「顧客のことをどれだけ正確に理解し、そして自分こそが最大の理解者だと伝えられるか」が高い成約率の鍵になり得たんです。

「PASONAの法則」や「PASTORの公式」といった、セールスライティングではお馴染みの型においても、大抵の場合は「Problem(顧客の抱える悩みや問題)」から始まっています。

まずは顧客の抱えている悩み事や、置かれている状況を正確に描写し、強い共感性や安心感を作り出すことで、その後の「解決策の提示」としてのセールスも効力が大きくなるのです。

逆に、顧客の悩みや現状に関する言語化力が低いと、つまり、ふわっとした言葉でしか語れていなかったり、ピントがずれているような印象の表現になってしまったり、読者が普段使っていない言葉や言い回しを採用してしまうと、読者の購買意欲も思うように上がりません。

「なんか、この人(or商品)は違うな」と思われてしまうからです。

まずは、読者の抱えている悩みを高い解像度で描写することから、確実にクリアしていきましょう。

目次

なぜ占い師にマインドコントロールされる人が多いのか

テレビのワイドショーやネットニュースを見ていると「あの芸能人は高名な占い師に洗脳されている!」という記事を時々目にする機会があります。

占いを信じることも、占い師に人生のアドバイスを求めることも、何も悪いことだとは思いません。ただ「子どもをどの学校に入れるべきか」とか「転職のタイミングはいつにしたらいいか」とか「今の彼氏と結婚しても大丈夫か」「病気の治療方針はどうしよう」といった、人生の岐路における重要な判断を、赤の他人である占い師に委ねてしまう人はあまりにも多いことに疑問を感じたことはありませんか?

一体、なぜ人は占い師に全てを委ねてしまうのでしょうか?

その理由の1つに「今現状で抱えている悩みや問題ごとをピタリと言い当てられるから」があることは間違いないでしょう。例えそれが「誰もに当てはまる事柄」だったとしても。

人は「こんなことに悩んでませんか?」と言い当てられると、「じゃあ私はこれからどうしたらいいんですか?」と質問したくなるのです。なぜか。僕たちは悩みをピンポイントで言い当てられると、無条件に「相手は私の悩み事における解決策を知っているに違いない」と思い込んでしまうからです。

本来は「相手の問題点を知っていること」と「その解決方法を知っていること」は何も関係がないはずです。しかしながら、無意識のうちに人は「問題点を知っている=解決策まで知っている」と思い込んでしまうわけですね。

この占い師の事例は、セールスの成約率を上げる上で非常に大きなヒントになり得るはずです。

ジェイ・エイブラハムの金言に学ぶ

『ハイパワー・マーケティング』などの著書で知られる、伝説のマーケター、ジェイ・エイブラハムが残した言葉にこのようなものがあります。

コピーの読者である買い手が抱える困りごとを、買い手が共感できるような言葉で、正確に描写すればするほど、買い手は本能的にコピーの書き手が困りごとの解決策を持っているに違いないと感じる

いかがでしょう。まさに先ほどの占い師の例がピタリと当てはまるのではないでしょうか。

ありとあらゆるセールスライティングの公式は「P(Problem、Pain、Person)」から始まっています。まず顧客の悩み事や状況、あるいは問題を正確に描写することによって、それを読んだ読者は次のように感じることになるのです。

「このセールスレターの書き手は、自分の問題をここまで明確に把握してくれている。この人は私の真の理解者だ。…ということは、この人は自分の抱えている問題を解決してくれる人に違いない!」

そういうモードになってくれた読者に商品を買ってもらうのは、それほど難しいことではありません。困りごとに対する共感を語り、困りごとを放置するデメリットを力説し、それを解決した後の輝かしい未来を提示し、最後に「Solution(解決策)」として商品の提案をするのです。

「ほら、あなたの期待通り、私はあなたの問題を解決する方法をちゃんと持っているんですよ」と言わんばかりに。

ポイントは「解像度の高さ」です

ジェイ・エイブラハムの言葉で、僕が特に大事だと思っている点は2つあります。

  • 買い手が共感できるような言葉で
  • 正確に描写すればするほど

逆に言うと、どれだけ読者の悩みを言語化できていたとしても、買い手が共感できない言葉でそれを語ってしまったり、不正確に描写してしまったならば、セールスライティングの威力も半減以下になってしまいます。

ライティングに不慣れな人の文章は、抽象度が高くて、解像度の低い、曖昧な表現に終始した文章になってしまいがちです。

例えば「もっと痩せたい」とか「恋人が欲しい」とか「人生を変えたい」とか「好きな時に好きな場所で好きな人と」といった言葉を好んで使いたがります。でも、これらのような解像度の高い言葉は、それを受け取った時に、自分に向けて語られる気がしません。曖昧な言葉は全ての人の心を遠ざけてしまうのです。

少しだけ、僕の話をしますね。

大学4年生の夏。就職先も決まり、あとは残りの大学生活をエンジョイするだけだった僕は、とある問題を抱えていました。

その問題とは「彼女がいなかった」ことです。

2年半ほど付き合っていた元カノと別れてからは、たまに合コンやら友人からの紹介やらで女の子と知り合うものの、本格的な関係には発展せず。貴重な学生最後の夏休みはアルバイトと男友達との飲みで潰れていくばかり。

隅田川で大きな花火大会が開催されていた七月某日。僕は一人、銀座にあるアルバイト先の休憩室で缶コーヒーを飲みながら、こう思ったんです。今年の夏が終わるまでに、浴衣の似合う彼女を作って、一緒に花火大会に行きたいと。

もし、当時の僕に対して「素敵な恋人を作りませんか?」というオファーが流れてきても、僕は特に興味を示さなかったと思います。なぜなら、コピーの解像度が低すぎて、自分ごととして感情移入ができないし(僕が実際に恋人が欲しかったとしても)、僕が欲しかったのは「素敵な恋人」ではなくて「浴衣が似合って一緒に花火大会に行ってくれる可愛い彼女」だったからです。

顧客の問題点や悩み事、あるいはベネフィットを語る時には、とにかく解像度の高い言葉を使いましょう。そして、顧客が普段から使っている言葉を用いることも重要です。

「同じ意味ならOK」というわけではありません。顧客の脳内に入り込むイメージで、顧客にとってベストな単語を使い、ベストな言い回しで表現する。ここまでやるからこそ顧客の「欲しい!」という感情を引き出すことができるのです。

ライティングの解像度を上げるコツ:ストーリーの使用

ライティングの解像度を上げるための、最も簡単で誰でも今すぐにできる方法が「ストーリー」を使用することです。

ちょうど今、僕が大学4年生の夏休みの話をしたのと同じです。顧客が抱えている悩みと近い属性の経験を持つ別の顧客、あるいはあなた自身のストーリーを語ることで、自ずと読者の心も開かれていきます。

ストーリーの持つ効用の1つが「読者にとって読みやすい文章になる」ことです。

コピーライティングにおける3つのNOTに「NOT READ(顧客はコピーを読まない)」があります。そもそも文章を進んで読みたがる人は多くありません。

ただ、ストーリーが好きな人は古今東西、非常に多いもの。

「夢を叶える秘訣は諦めないことだ」と一方的に説教くさい自己啓発メッセージを受け取ることに抵抗感がある人でも、『スラムダンク』の「諦めたらそこで試合終了だよ」という安西先生の名言に胸を震わせるわけです。

ストーリーの持つ効用の2つ目は「共感」を生み出せることです。

読者の悩みを具体的に語ることがポイントとはいえ、「あなたはこんなことに悩んでいますよね?」と延々語られるのはどうでしょう。「勝手に決めつけないで」と反発する人もいるかもしれませんし、良い気持ちにならない人もきっと多いのではないでしょうか。

でも「実は私はこんなことに悩んでいました…」とか「私の顧客の○○さんも、かつてはこんな状況で苦しんでいて…」と他者のストーリーとして受け取ることで、読み手も自然と文章に没入できますし、勝手に感情も動かされていきます。書き手に対して共感や信頼感さえも覚えるようになります。

当然ですが、顧客は愛着や親近感を感じるブランドから商品を買いたいと思うものです。

「自分が顧客の問題を解決できる人間であると感じてもらう」ことに加えて「共感や信頼感を感じてもらう」ことのできるストーリーの威力は凄まじいものがあります。またストーリーを語ることで、自ずと様々な周辺情報や心理描写を描く必要性が出てくるので、自ずと解像度の高いライティングができるようになるわけです。

読みやすい文章の特徴とは

「NOT READの壁」という言葉もあるように、そもそも見込み顧客はこちらの買いたコピーを読んですらくれません。どれだけ強烈なオファーがあっても、どれだけ魅力的な商品を用意できていたとしても、文章を読んですらもらえないと、商品を購入してくれる確率はガクンと下がってしまいます。

その逆に、良い商品と魅力的なオファーを用意できた上で、ちゃんと文章を読んでもらうことができたなら、商品の成約率は上がっていきます。

小説を読む習慣がなくても(長い文章は読めなくても)、東野圭吾の作品はスラスラ読めるという人は少なくありません。実際に僕も高校生まで小説や読書そのものに対して苦手意識を持っていましたが、東野圭吾の『白夜行』や『手紙』を読み、小説の面白さにどっぷりと浸かっていきました。

なぜ東野圭吾の小説は読みやすいのか。それは最初の冒頭から、固有名詞をふんだんに使用して、具体的な描写を描いていることが多いからです。例えば「むせ返るような暑い夏の夜、銀座の○○通りで、△△は不気味な視線を感じていた」という一文から文章が始まれば、読者は何も考えなくても、情景が自然と頭の中に浮かび上がってきますよね。

連続ドラマと映画の違いもここにあります。

ティーン層をターゲットにした、少女漫画原作の恋愛映画はちょっと別かもしれませんが、映画って最初の10分くらいを見ていても「何の話か全然わからない」と感じることは少なくないはずです。ただ、視聴率が重要な連続ドラマでは、最初の冒頭から、これは何のシーンかと一瞬で分かるような工夫(セリフやナレーションやカット)がなされているはずです。

そうしないと、視聴者は「よくわからない」という感情から「面白くない」と感じて、すぐにチャンネルを変えられてしまったり、テレビを消されてYouTubeを見られてしまうからです。

つまり「何も頭を使わなくても、自然と読者の脳内に映像が勝手に浮かび上がってくるような文章」こそ、読者にとって読みやすい文章だといえます。

ぜひ一度、東野圭吾の有名な作品を幾つか読んでみてください。なぜミステリというジャンルにも関わらず、彼があれだけ大衆性の高い人気を誇る作家になることができたのか、すぐに分かっていただけるはずです。

個人的なストーリーは「自分ごと」として受け取られる

自分自身や顧客のストーリーを高い解像度で語ることで、自ずと「個人的な話」や固有名詞が登場する機会が多くなります。すると、読者の中に共感できない人も増えてしまうのではないかと心配になるかもしれません。

あるいは「誰も自分の個人的な話になんか興味がないだろう」と思われるかもしれません。

でもその心配は必要ありません。なぜなら、読み手は書き手の個人的なストーリーに対して、勝手に自分ごとに置き換えて受け取ろうとしてくれるからです。

『金持ち父さん 貧乏父さん』がアメリカを舞台にしたストーリーを使用していても、登場人物たちに強く共感して、実際に行動を変えた日本人はたくさんいましたし、2000年以上前の中国大陸を舞台にした『キングダム』から生きる指針や仕事術のヒントを見出す日本のサラリーマンも後を断ちません。

ちなみに僕が、会社を辞めて新しい働き方を実現したいと思っていた時に熱中して読んでいたのは、大手出版社を辞めて独立したノマドワーカーの女性の書籍と、公務員を辞めてインターネットビジネスで起業した男性のメルマガでした。

ノマドワーカーの女性は世界を旅することが大好きで、とにかくアクティブでキラキラしたイメージだったのに対して、元公務員の男性はあまりプライベートが見えてこないミステリアスな印象。両者から受け取るイメージは真逆でしたし、僕が勤めていたのは堅い印象のある大企業で、自由闊達な出版社とも、公務員とも全く違ったんですよね。

それでも僕は、両者の語るストーリーに引き込まれていきましたし、彼らの語るストーリーの細部に至るまで、僕自身の人生との共通点を見出しては、勝手に感情移入をしてのめり込んでいったのです。

その女性の著書には「新入社員時代にコピー取りすらできなくて上司から無能の烙印を押された」と書かれていました。それを読んでいた当時の僕は、新入社員真っ只中でしたが、流石にコピーを取ることすらできないなんてことはありませんでした。多分、無能の烙印も押されていなかったはず。そうであると信じたい。

ただ「何でこんなこともできないの?」と先輩から思われてるんじゃないかと、常にビクビクしながら生きていましたし、みんなが当たり前のようにできていることが自分にはどうしてもできなくて、それが大きなストレスになっていました。だから「この人も自分と同じだったんだ!」と自然と、自分ごとに置き換えて彼女のストーリーに共感することができていたんです。

「こんな話をしても、誰も共感してくれないだろう」という気持ちから、自分自身のことを語らず、多くの人に共感してもらうために抽象度の高いライティングをしたがる人は多いですが、それは大きな間違いです。

抽象度の高い文章は、頭にスッと入ってきません。読んでいて面白いものでもありません。逆に、具体性の高い文章を読んだ読者は、勝手に共感できる部分を探してくれたり、自分ごとに置き換えて受け取ってくれます。ぜひ固有名詞や5W1Hを用いながら、具体性の高いストーリーを展開していきましょう。

抽象度の高いライティングは売れない

読者の抱えている悩みを指摘しようとするセールスライティング実践者は多いものの、読者が共感できるような形で言語化できている人は多くありません。

その理由は「ライティングの抽象度が高すぎる」ことにあります。

「仕事ができなくて辛かった」と言われるよりも「コピーすらとれないほど仕事ができなくて辛かった」と言われる方が、より心に残り、情景が脳内に映像として流れてきて、共感してもらえる可能性は劇的に高くなります。仮に読み手自身は、コピーが取れなかった経験など、人生で1回たりともなかったとしても。

「お金がなくて辛い」
「ダイエットに成功したい」
「もっと自由な時間が欲しい」

といった悩みは、読み手の抱えている悩みを端的に表したものかもしれません。ただ、人の気持ちは本来、端的に表すことのできるものではありません。一見すると個別具体的すぎて不要に思えるかもしれない、無数の周辺情報も併せて語ることで「辛い」とか「自由になりたい」という読者の悩みに、リアリティを付け加えることができるのです。

では、なぜ多くのビジネスプレイヤーは抽象度の高いライティングに終始してしまうのか。その理由として考えられるのは、

  • 端的に言った方が伝わりやすいと思ってるから
  • より多くの人に響かせたいから

この2点ではないでしょうか。

「物事は端的に言わないと伝わらない」と考えている人は多いです。確かに、物事を端的に伝えることで、メッセージの分かりやすさは増します。その一方で、冗長な文章はメッセージを分かりにくくするリスクを抱えています。

ただ、分かりやすさと共感できるかどうかは、全くの別問題です。

「幸せになりたい」とか「会社が辛い」と言われて「うん、めっちゃわかる!!」と心の底から共感できる人は、果たしてどのくらいたくさんいるでしょうか。

それよりも「毎日朝から晩まで働いて、家と会社を往復するばかり。会社の人とは表面上の付き合いだけで、友達とも疎遠になっていって、家に帰っても疲れているから、スマホでダラダラとパズドラするかTikTokを眺めるしかできなくなった」と言われた方が「会社の辛さ」を情緒的にインプットできるでしょう。

また、具体的にライティングすればするほど、響く人は減る(=響かない人が増える)と思っている人も多いですが、果たして本当にそう言い切れるでしょうか。

上述したように、読者は他人のストーリーを自分ごとに置き換えて共感する生き物です。主婦が起業したストーリーを読んで、勇気をもらって行動を起こした男性のサラリーマンだって、この世界にはたくさんいると考えるのが妥当です。

セールスライティングの成約率を高める上で、読者の悩み事を高い解像度で正確に表現するのは、この上ない効果をもたらす秘薬のようなもの。ぜひ、そのためにも「あなたの顧客は誰で、どんな毎日を過ごしていて、どんな悩み事を抱えているのか」と常に徹底的に向き合いましょう。

良いセールスライティングをするための条件。それはあなたの顧客について、誰よりも詳しくなることです。

CHECK IT OUT!!

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この記事を書いた人

コギシノゾムのアバター コギシノゾム 株式会社BILLETT、MAKEST代表

スモールビジネス×ブランディングの専門家。副業で月間100万PVを集める情報サイトを運営していたことがキッカケで、マーケティングやコピーライティングの世界に深くのめり込む。2015年に独立起業。以降は個人起業家や中小企業オーナーを対象にブランディングやビジネス構築のコンサルティングを行う。理想の顧客に売り込まずに売れるブランド重視の情報発信ビジネスの提案力が、自分の想いを大切にしたい顧客から多くの支持を得ている。

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