ネットを主戦場にコンサルティングやコーチング領域で起業をする人は後を絶ちませんが、それと同時にコンサルティングやコーチングに疲弊してしまって、ビジネスの現場から降りていく人もかなり多い印象を受けます。
ただ、コンサルティングやコーチングのような一人一人のクライアントと向き合う仕事は、シンプルにやりがいも大きいですし、こちら側が学べることも非常に大きいんですよね。
それに自ずと良質な人脈も育っていくわけですから、売上を伸ばしながら起業家として成長していける素晴らしいビジネスモデルだと思います。
見ていると、コンサルティングやコーチング業を途中で廃業してしまう人は、シンプルに「やり方のテコ入れをすれば何も問題なく解決できる」ケースばかりなので、それについて語っていきたいと思います。
コンサル・コーチ業に疲弊する2つの代表的な原因
コンサルやコーチをしていて疲弊してしまい、働き方に悩んでしまう人は、次のどちらかのパターンに当てはまるはずです。
- 顧客対応が忙しすぎる
- 顧客の質が悪い
ビジネスの売上を上げようと思って、高単価コンサルをガンガン販売し、最終的に顧客対応に疲弊してしまい、自分の自由な時間を楽しめなくなる。自由なライフスタイルを求めて起業をしたはずなのに、なんでこんなに大変な日々から抜け出せないんだろう…というのが最初のパターン。
誰彼構わず顧客にしてしまった結果、他者依存心が強く、他責思考でクレーマー気質な人が集まってしまったり、全く行動を起こさずに不安や愚痴ばかり口にする人が集まり、コンサルティングというよりも人生相談のようになってしまうケースが後者ですね。
また「本当はもっと専門性の高いマーケティングを教えられるのに、初心者ばかり集まってしまって、基本的なビジネスマナーやマインドセット教育ばかりになってしまう」とか「気づけばゴースト会員ばかり」とか、本当はもっと価値提供できるのに、それができなくて、自己重要感が下がっていき精神的に疲弊するケースも後者に当てはまります。
どのようにしたら、その状況から抜け出せるのか、1つずつ案をお伝えしていきます。
1.顧客をスクリーニングする
特にビジネスを始めたばかりの頃は「売上を伸ばすこと」が最優先になるでしょうし、実際に色々な顧客と出会うことで、マーケットリサーチを深めていくこともとても大事だと思います。
ただ、最低限のビジネスマナーを持ち合わせていなかったり、依存心が異常なレベルで高かったり、責任転嫁をして他者を攻撃する傾向にあったり、価値観があまりにも合わない人まで無理に顧客にする必要はないんですよね。
クレーマー気質な人や他者依存マインドが強すぎる人まで顧客になってしまうと、対応コストがかかりすぎてしまうし、こちらの精神衛生上にも悪影響が及んでしまい、ビジネスの質や効率も下がってしまいます。そうなると、優良顧客の方にとっても好ましくないですよね。
セールスレターやメルマガ、LINEなどで顧客にふさわしくない人の特徴を伝えたり、モラルや民度の低い人を引き寄せるセールスコピーを使わないようにしたりといった、発信内容のスクリーニングをすることはもちろんのこと。
リスト全員に対してセールスレターを流していた場合は、事前の面談を挟んだり、売り切り型の商材をフロントエンドにして一定の教育をクリアした人にのみコンサルのオファーを流すなど、仕組みの改善を行なっていきましょう。
2.販売後と販売前で発信内容やスタンスを変えない
意外と盲点なのがこの部分です。
某有名ビジネス系インフルエンサーの話なのですが、その人が運営しているオンラインサロンメンバーに対して、彼はかなり率直でストレートな意見を伝えているらしいんですね。(メンタルが弱い人が言われたら普通に傷つくような)
ただ、その方は普段SNSやYouTube、著書などあらゆる表のメディアで同様の強目な発信をしていて、彼の情報を能動的に受け取っているフォロワーたちにとっては、それが至極普通なことなのです。
だから、どれだけ強いことを言っても、顧客の信頼や期待を裏切ることにならないのだとか。
逆に、販売前の表のメディアで「手取り足取り優しく教えますよ〜」という雰囲気を強く出しているにも関わらず、コンサル販売後に「これはあなたのビジネスなので、主体的に問題解決する意識がないと話になりませんよ」みたいなコミュニケーションを取ってしまい、顧客との関係が悪化するケースってかなり聞くんですよね。
もちろん「あなたのビジネスだから、主体的に問題解決する意識がないと話にならない」のは事実だと思いますし、顧客を甘やかすのではなく、本当に必要なことであれば嫌われる覚悟を持って厳しい態度で接することも必要です。
問題なのは、販売前の段階で、顧客を勘違いさせてしまうこと。あるいは販売前のスクリーニングをしていないのに、販売後はスクリーニング済みの顧客に対して取るべきコミュニケーションを取ってしまうことですね。
表ではめっちゃ優しそうなのに、裏では実はすごく怖かった…ではお互いにとって良いことがないですし、優しい雰囲気で売っていくなら裏でもその期待に応えるべきですし、裏で厳しくいきたいのであれば、表でもその前提を感じさせるようにしましょう。
3.コンサルティング領域を明確にする
特にコンサルタントとしての活動を始めて間もない頃は、USPを尖らせることも難しいので「何でも教えます!」的なスタンスを取ってしまうことも多いんですよね。
もちろんそれが悪いことだとは思わないし、顧客からしてみれば自分の悩みや課題を1つの商材で解決できればそれに越したことはないですし、販売者からしてみても自分の商品でオールインワンの価値提供ができれば、顧客が他に流れるリスクも減らせて美味しいという考え方もあります。
ただ、それでコンサルティングが辛くなって、結果として顧客への価値提供ができなくなっていくのであれば、「全部教えます」というスタンスではなく「このジャンルのこの領域のコンサルをします。他のことは聞かれても教えられません」というスタンスに移行するのも全然悪くないですね。
余談ですが、領域を明確にして区切っていくことで、自然と商材数も増えますし、商品ラインナップを増やし価格差を作るこことも容易になるので、LTVも上がりやすくなります。
4.ターゲットを徐々に絞っていく
コンサルティングの領域を明確にしたら自ずとターゲットも絞られてきます。
例えば「ブログ収益化のコンサルをします」よりも「ブログを書籍化して影響力を伸ばすためのコンサルをします」とか「ブログ運営者のための外注化コンサルをします」の方が、専門領域も絞られますし、自ずとターゲットも絞られてきますよね。
ターゲットを絞っていくことで、本当に自分が相手にしたい人だけをお客さんにすることができますし、より充実感を感じながらコンサルティングを行うことができます。
主婦の方で、自分より一回りも年齢が下の学生さんや、キャリアウーマンの人とはどうも相性が悪い…と感じているのであれば「専業主婦専門コーチ」のように絞っていってもいいでしょうし、自分と価値観や感覚が合う人にのみ絞っていくというやり方も当然ですが効果的です。(見込み客のパイは減ることになりますが)
例えば、自分自身が家族とのライフスタイルを大事にしたいのに「家族よりもビジネス最優先です!」という人が集まってくると大変ですし、自分自身がクライアントに対して売上にコミットしてほしいのに「お金よりも好きなことを優先したいです」という人が入ってくると、コミュニケーションの取り方を都度ガラッと変えないといけないので、なかなかに大変です。
そういう意味でも「自分の価値観に合った人にコンサルティングを受講してもらう」ようになってくると、見違えるようにコンサルティングもやりやすくなっていきます。
5.コンサルティングの単価を上げて客数を絞る
顧客数が多くて疲弊している場合は、シンプルに値段を上げることも効果的ですね。
本来、1on1のコンサルティングは販売者にとって超VIP商品になるわけですし、マーケティングファネルの一番下層部に位置させるべき商材です。
まずは早く売上を立てるために、またマーケットリサーチの精度を上げるために、本来バックエンドコンテンツとなるべき個別コンサルティングを最初からセールスしていくのは個人的にオススメですが、売上と客数が伸びてきたら、値上げをして客数を絞り、自分自身が労働しなくても良い商品(デジタルコンテンツなど)の販売に移行していくといいですね。
まさに、バックエンドから作り、売上が伸びてきたらフロントエンド、ミドルエンドを作るという考え方です。
6.フロントエンド商材を作る
「4」と「5」のまとめになりますが、バックエンド商材の個別コンサルティングの手前に、コンテンツ売り切り型のフロントエンド商材を設けることで、より自分に価値を感じてくれる人がコンサルを受けてくれることになります。
また価値観や最低限の知識を前提として共有できている人や、ある一定ラインまで行動している人がコンサルティングの対象になるので、コンサルの時間がこちらにとってはより楽に、相手にとってはより有意義になりますよね。
例えば、DRMのコンサルティングをする場合、マーケティングファネルの概念を知っている人に実践的なアドバイスを行うのと、それを知らない人にゼロから説明するのだと、後者の方が時間も労力もかかるわけです。
また多くのコンサルタントは「自分が価値提供できていない」ことにストレスを感じやすくて、コンサルを受講しているのに全く行動しない人が多いと不安になったり、イライラしてしまうケースもあるのではないでしょうか。
ここも、例えば「教材学習 → セミナー受講 → サブスク型のオンラインサロン」といった幾つかのステップを踏んでもらった上でコンサル成約に至ると、より熱量と意識の高い人だけが自然とスクリーニングされやすくなりますね。
7.コンサルティングのやり方を変える
僕がコンサルを始めたばかりの頃、周りの同業者には「24時間いつでも質問し放題」という売り文句でコンサルを販売している人がたくさんいました。
それはそれで顧客にとっては魅力的なのかもしれませんが、そのやり方でずっとビジネスを続けていくことは難しいですし、「いつでも対応してもらえる」という点を決め手として打ち出すと、依存心が強い人やクレーマー気質の人を引き寄せてしまいかねません。
例えば、365日24時間フル稼働している場合は、稼働しない日を予め決めておくことも良いですし、今まで質問やコンサルの回数が無制限だった場合は、回数を決めて行うのもアリですよね。
また1on1の個別コンサルではなくて、1週間に1回複数人でグループコンサルを行うという選択肢もあります。
ちなみに、グループコンサルをフロントエンド(or ミドルエンド)において、個別コンサルをバックエンドにしてもいいですし、コンサルを受けられる頻度や回数に応じて価格差をつけて、複数の値段帯のコースを作るのも当然ながらアリです。
今の働き方に疑問を持った場合、柔軟に商品設計を変更しつつ、顧客にとっても魅力的なステップを作っていきたいですね。
8.コミュニティや教材を活用する
何人もの顧客にコンサルティングを提供していると、「毎回同じようなことを質問されるな」とか「この辺ってみんな意外と理解が難しいんだな」とか「こういうフェーズではこういう不安を抱える人が多いんだな」といったように、大勢に共通する課題を発見できるようになるはずです。
それを一人ずつ個別で何十分もかけて通話で教えたりするのは効率が悪いですよね。
だからこそ、みんなが悩みそうなことや理解が難しそうな箇所は教材にして配ってしまったり、顧客をコミュニティ化して、ChatworkやSkypeのグループチャットに一気に共有することで、前提知識を一括で共有していくと良いですね。
もちろん、顧客に配る教材やコミュニティはフロントエンド商材にするのもアリです。
そうすることで、コンサルティングの場では既に前提知識を知ってもらっている状態で、より具体的なアドバイスに移っていけるので、とてもスムーズに話が進みますし、双方ともにストレスなくコミュニケーションを取ることができるようになります。
9.一人でコンサルをやらない
例えば、マーケティング全般のコンサルは自分がやるけど、広告集客はこの人、動画の活用はこの人、ツール関係はこの人…という風に何人かでチームを組んでコンサルティングを行うのもいいですよね。
「個人ビジネス」という先入観を持っていると、なかなか出てこない発想かもしれませんが、多くの顧客を同時期に対応しようとすると、必然的に一人では限界が生じます。
また、コンサルティングを行なって顧客を理想の未来へと導いていく最中には、必然的に新しい課題や問題が次から次へと生まれるものですし、それらを全て自分一人で対応しようとしても無理が生じます。
それなら、自分が得意分野に集中して、時間のゆとりを作り、新しく生まれた時間で新しい勉強をしたり、セールスファネルの構築やブラッシュアップに力を注いだ方が、結果として全員が幸せになれます。
「一人で自由気ままにビジネスをしたい」という理由で、オンラインビジネスに参入する人は多いですが、長く売上を伸ばし続けるには、信頼できる仲間と要所で協業していくスタイルはとてもオススメですよ。
売れることはビジネスのスタートライン
売上が発生することはビジネスのスタートラインであってゴールではありません。
「商品が売れるにはどうしたらいいか」というステージをクリアできたら、
- 売上を持続させるにはどうしたらいいか
- もっとLTVを伸ばすにはどうすべきか
- 同じ売上をもっと楽に稼ぐにはどうすべきか
と新しい課題に立ち向かっていかなくてはいけないのです。
それを重ねていった先に、自分らしく成功することが待っているはずなのですが、コンサルやコーチ業をするようになって「思ったよりキツイから辞めよう」と極端な選択をしてしまうのは、いささか短絡的すぎますよね。
売れているけどしんどいのであれば、一体そのしんどさはどこから来るのかを冷静に分析し、客観的な判断で解決策を考えていくべきです。
理想的なお客さんとちゃんと出会い、自分がちゃんと価値提供できていると実感しながら貢献できるのは、この上なく幸せな働き方です。
ぜひ、この記事の内容を1つずつチェックしながら、日々のコンサル・コーチ業の改善に邁進していただければ!