DRMの基本的な流れとしてよく知られているのが、
- リストを集めてきて(集客)
- 教育をして(教育)
- 最後にセールスをする(販売)
という3ステップですが、「集客」と「販売」は感覚的に理解できる人も多いと思うんですよね。
「集客」とはメールマガジンや公式LINEに登録してもらいリスト化することで、「販売」はメルマガやLINEの読者に対してセールスレターのリンクを案内し、自分の商品を販売したり、他社の商品をアフィリエイトしたりして売上を作ることであると。
ただ「教育」という言葉は、日本語としても様々な定義ができてしまうため、いまひとつイメージが湧いていない人や、実際に何を意識してどうアクションを起こしていいかわからないという人も多いのではないかなと思います。
結論からいうと「教育」という概念を「リード・ナーチャリング」という言葉に置き換えると、非常にわかりやすいです。
DRMにおける「教育」の勘違い
よく巷の情報発信者の方を見ていると、
教育とは「読者(見込客)との間に信頼関係を構築すること」だ!
と言っている人も多いです。
あるいは「集客→教育→販売」というDRMの流れを「集客→信頼づくり→販売」と独自に言い換えて定義をしたり、「信頼構築」ではなく「ファン化」という言葉を使う人もいます。
それらは完全に間違っている訳ではないけれど、確実に不十分であるというのが僕の意見です。
また「教育」という日本語をストレートに解釈して「読者に知識や情報を提供すること(=教えること)」という解釈もイマイチだなぁと感じます。
DRMの「教育」とはリード・ナーチャリングのこと
ではDRMにおける「教育」とは一体何をすることなのでしょうか。
その答えは「集客した見込客の購買意欲を高め、最終的な成約に繋げていくこと」です。
リードナーチャリングとは、獲得したリードに対して、段階的かつ効果的にアプローチし、信頼関係を構築しながら購入意欲を高めていく、マーケティングの方法です。
Adobe Experience Cloud
アメリカでは「リード・ナーチャリング」という呼び名で親しまれていますが、「リード」とは見込み顧客のこと、「ナーチャリング」とは育成することを指す単語です。
「育成」という言葉もわかりやすいかもしれませんが、要は温度感のそれほど高くない一般的な見込み顧客を「あなたの商品を購入したくてたまらない見込み顧客」へと育成していくということですね。
そう捉えると、DRMにおける集客と販売の間を繋ぐステップが「信頼構築」や「ファン化」では不十分であることがよくわかるでしょう。
なぜなら、見込客と信頼関係を築くことも、見込客に自分の(or 自分の商品の)ファンになってもらうことも、商品成約のために効果的ではありますが、それらが全てではないからです。
信頼関係を築いたとしても、商品が売れないことも普通にありますし、ファンになったからといって商品を必ず買いたくなるわけでもありません。(そもそも短期間で安直にファン化を促すことはリスクもあるので個人的には推奨してません)
その逆に、十分に信頼関係が築けていなくても商品の購入に至ることもありますし、別に「ファン」にならなくても、自分が抱えているどうしても解決したい悩みを解消できると感じたら、普通に高価格帯の商材を購入することだって十分にあり得ます。
僕の両親は僕の大学受験に際し、年間約100万円の投資をして河合塾に入塾させてくれましたが、別に河合塾の大ファンだというわけでもなかったですからね。(「信頼」はしていたと思いますが)
だからこそ「教育」という言葉に何となく抵抗があるからといって「信頼構築」や「ファン化」という定義にすり替えると、マーケティングの本質から自然とズレてしまうリスクがかなり高くなってしまうわけです。
購買意欲を高めるために必要なこと
DRMにおける「教育」は、「集客」と「販売」を繋ぐものなので、集客してきたオプトインリストが最終的にこちらのオファーに対して「YES!」のリアクションをするためには、どういう態度変容を促していくかを考えることが何より重要です。
「購買意欲を高めるためには、たった1つこれだけやれば良い!」なんて裏技は存在するはずもありません。
- 自分の見込客はどんな悩みを抱えていて、どんな理想を描いているのか
- 自分の提供する商品はどんな特徴を持ち、どんなベネフィットを顧客に提供するのか
この2つと徹底的に向き合うことで、自ずと「メルマガやLINEに登録した見込客に対して、どういう発信をしたらいいのか」はクリアになっていきます。
要は、見込み客の悩みや課題を言語化してあげて、その問題を放置してはいけない or 解決しなければならないと意識づけをしてあげて、その解決策を論理的かつ感情的に納得できるように伝えてあげられれば、自ずと集客から販売までの橋渡しができるようになっていきます。
もちろん、集客も教育も販売も部分最適で考えてはいけなくて、それぞれが連携している必要がありますから、自分の商品の機能的特徴で解決できる課題を抱えている見込客を集客する、集まってきた見込客の課題などインサイトを特定して、その課題を解決できる商品を考えるという姿勢は重要です。
コピーライティングの力で、まだ顧客自身も気づいていないような(あるいは持ち合わせてすらいないような)ニーズやウォンツを作り出して商材を販売することも可能ではありますが、DRMを始めたばかりの頃は、明確な課題を持った見込客に対してその課題を解決する商材を販売した方が効率も良いですからね。
もちろん「信頼」も「共感」も大事です
「教育」を「信頼構築」という言葉に置き換えるのはマズいと言いましたが、「見込客の育成」を通じて、見込客の購買意欲を高めていく際に「信頼」や「共感」を獲得すること自体は必要なステップです。
なぜなら、見込客から「信頼」されていた方が成約率は上がりやすいですし、「共感」も同様だからです。
いくら強力なベネフィットを持つ魅力的なオファーをしても、見込客から信頼をされていなければ、そのオファーは怪しくて胡散臭い得体のしれないものとしか受け取ってもらえません。
また見込客からの共感を十分に得られなければ、仮に魅力的な商材を用意できて、魅力的なオファーを投げることができたとしても、見込客は自分ごととして受け止めることができず、最終的な成約に至らない可能性もあります。
特にビジネスのコンサルティングやダイエットなど、顧客自身の努力が必須となる商材については「自分には難しそうだ」という感情が成約までのブレーキになりますし、パーソナルでのコーチングのように発信者自身が商材の一部になる場合は、発信者に対して共感できるか、好きになれるかも重要なポイントになります。
見込客に理想への階段を登ってもらう
よく「ステップメールの書き方」が解説されたコンテンツに、「自己投資意識の教育をしましょう」とか「ほとんどの人は問題解決を後回しにしたがるので、すぐに行動するメリットを伝えましょう」と書かれていがちです。
それに対して「商品を買ってもらうための誘導は抵抗があるなぁ」と思う人もいるかもしれませんが、そもそも販売する商材が見込客にとって価値のあるものであれば、商品を買ってもらうことは、あくまで善なることなんですよね。
そういう意味では、期間限定の販売やカウントダウンタイマー、数量限定セールといった、売上を伸ばすためのあらゆる施策も「顧客の背中を押す」という意味で、人生に悩める見込客のためになることと言えるわけです。
ステップメールも、セールスも、課題や未来への不安や現状への不満を抱えている見込客に対して、未来への階段を登ってもらっているというイメージを持つとわかりやすいでしょう。
今すぐ行動することも、自己投資の意識を持つことも、その人の人生の課題を解決して、より良いライフスタイルを手に入れてもらうために必要なことであれば、自信を持って伝えてあげるべきです。
見込客の購買意欲を高めるということは、つまりは見込客に対して、不満や課題に満ちた現在から、それらが取っ払われた理想的な未来に向かって階段を一歩ずつ登ってもらうこと。
そしてある一定の段まで登ったら、次のステップに移行しやすくなるための「商材」がオファーされるという構図です。
まとめると、
- 見込客が抱える課題や不満など現状
- その課題が解決された先に待っている未来
- 「現状→未来」を可能にする手段
を言語化して伝えてあげつつ、手段としての商材を販売する際にネックとなる部分(今じゃなくてもいい、自分にできるか不安、お金が無駄にならないか心配、まずは無料でやってみようと思ってる)などを解消することで、自然と商材の成約率が上がっていくことを目指す。
これがDRMにおける「教育」の考え方です。
まさに見込客(リード)を育成する(ナーチャリング)わけですが、購買意欲が高い状態へと育成するというわけですね。
信頼構築もファン化も共感も、購買意欲が高まるための1つの条件ではありますが、それらが全てではありません。自分自身の見込客に対して何を伝えて、どういうネックを解消していけばいいのか、それを考えることから逃げないことはぜひ意識していくといいですね。